仮想通貨取引が過熱、3カ月で4000%高も-発行による資金調達拡大
Dune Lawrenceデービッド・ボリック氏(24)は、世界を変えようともくろむ技術者の1人だ。同氏が率いる新興企業は「シア」というアマゾン・ドット・コムやグーグルのようなデータストレージサービスを提供する。ただ、シアは両社とは異なり、ビットコインを支える技術ブロックチェーンを活用し、オンライン市場でファイル保存スペースが必要な人と余剰ストレージを持った人をマッチさせる。
金融関係者にとってシアの興味深い点は他にもある。ストレージスペースを購入したり支払いを受け取ったりするためには、「シアコイン」と呼ばれるシステム独自の仮想通貨を利用する必要があることだ。
仮想通貨を取引するサイトでは、シアコインのドル建て価格は5月1日以降、1200%余り上昇。他の仮想通貨も急騰しており、グローバル送信システムを手掛けるリップルの「XRP」は過去3カ月で約4000%上昇している。
ブロックチェーン企業が必ずしも仮想通貨を発行しているわけではないが、従来の新規株式公開(IPO)になぞらえた仮想通貨の発行による資金調達(イニシャル・コイン・オファリング、ICO)を実施する新興企業が増えている。
ブロックチェーン調査会社スミス+クラウンによると、年初来で63件のICOが実施され、調達額は5億2100万ドル(約580億円)に上る。これはすでに2016年の2億6000万ドルを大きく上回っていると、デジタルファイナンス投資銀行のアーゴン・グループの法務顧問、エマ・チャニング氏は指摘する。同氏は今年のICO規模が10億ドルを突破すると予想している。
自社のウェブブラウザーで利用するための仮想通貨「ベーシック・アテンション・トークン(BAT)」を導入したブレイブ・ソフトウエアは3月にICOを発表。5月31日のICOでは1分足らずで3500万ドルを調達した。
驚異的な価格上昇で仮想通貨の注目度はますます高まり、典型的なバブルの前段階のような状況になっている。シアコインの値上がりに伴いシアのユーザーも増加しているが、なぜ価格が急騰しているのか。「価格上昇はわれわれが行った主要な発表とは全く符号していない」とボリック氏は話す。
原題:Digital Coins Are So Hot, Startups Are Selling Them Like an IPO(抜粋)