イーサリアムが急落、一時は最高値の半値以下に 約170億ドルの価値消失
【NQNニューヨーク=横内理恵】インターネット上の仮想通貨でビットコインに次いで時価総額2位の「イーサリアム」が11日、急落した。ビットコインなどの仮想通貨情報サイトを運営するコインデスクによると、ドル建ての価格は一時183.39ドルと前日から28.14ドル(13.3%)まで下げる場面があった。5月下旬以来の水準に落ち込み、6月12日に付けた最高値の414.76ドルを5割超下回った。
時価総額でビットコインを追い抜くとの思惑もあったイーサリアムには年初から急激に資金が流入していた。最高値を付けた6月には昨年末の終値(9.56ドル)を40倍あまり上回っていた。もっとも、足元では過熱感が意識され売りが膨らむ場面が目立っていた。価格も不安定で、6月下旬には瞬時に価格が急落する「フラッシュクラッシュ」に見舞われ、一時はほぼ無価値になった。
情報サイト「コインマーケットキャップ」によると11日の時価総額は約180億ドルで、ビットコインの約390億ドルの半分以下となっている。6月中旬には時価総額が350億ドル程度と、400億ドル台のビットコインに迫っていた。ほぼ1カ月で約170億ドルの価値が消失したことになる。
11日はイーサリアム同様にシェアを高めてきた「リップル」の下げも大きかった。外国為替証拠金(FX)取引の投資家などの参入を背景に仮想通貨の市場は拡大。イーサリアムやリップルはビットコインの価格が6月に3000ドルを突破し、目先の利益を確定した投資家の資金の受け皿になった面もある。利用できる先の広がりに加え、日本で仮想通貨が支払い手段として認められたのを受け資金が流入してきた。
もっとも、仮想通貨の価格水準を割高か割安かを判断するような投資尺度はなく、大口の買いや売りで1日に2~3割も価格が変動するなど「投機色」は強い。需給のみで価格が決まる仮想通貨は思惑先行で価格が大きく動く場面も目立ち、足元の価格急騰・急落劇は仮想通貨の取引が「マネーゲーム」の域にとどまっていることの証左ともいえる。