スイスの老舗銀行、ファルコン・プライベート・バンク がスイス金融市場監査局(FINMA)の承認の元、ビットコインを含む仮想通貨による資産管理サービスを開始すると発表した。

ビットコインへのアクセスは、同国の仮想通貨ブローカーであるビットコイン・スイス(Bitcoin Suisse)を通して行われる。

ファルコンの挑戦により、「世界各地の金融機関が仮想通貨取引に踏みだすきっかけになる」という期待も高まっている。

ファルコン「ビットコインを超えた、新たな現金取引」

スイスの銀行で初めて、仮想通貨資産管理サービスに乗りだすファルコンだが、国際商品・サービス部門責任者のアーサー・ヴェイロヤン氏 は、この試みを「ビットコインを超えた挑戦」と形容。「新たな現金取引の幕開け」とCNBCに語ったという。

ヴェイロヤン氏の説明によると、ファルコンは2017年1月に仮想通貨資産管理サービスの開始について検討後、6月にFINMAの承認申請を行った。

仮想通貨促進に積極的なスイスであるからこそ実現できた感は強いものの、総運用資産146億スイスフラン(約17兆845億円)というファルコンのような大手と、一国の金融規制当局が仮想通貨を正式な取引資産として認めたという事実は、仮想通貨の歴史に多大なる影響をおよぼすと予想される。

ビットコイン・スイスの二クラス・二コラジュセンCEOは、「今後同様の動きが金融機関で広がるのも時間の問題だ」と成功への確信を述べた。他国の金融規制当局がビットコインを利用した犯罪行為のリスクに懸念を示している中、FINMAの主な懸念は消費者保護に向いているそうだ。

米国ではフィデリティもビットコインに積極的

ファルコンは4月、デジタル資産管理や投資分析システムを提供している英国スタートアップ、ムーブ・デジタル と戦略提携を結び 、最先端のデジタル・プラットフォームへのアクセスを確保。

ほかにもクレディスイスのリスク分析・コミュニケーション部門責任者、ブルーノ・マイヤー氏をCROに引き抜くなど、積極的にデジタル改革を遂行してきた。本社のロビーにはビットコインATMも設置している。

ファルコンといえば、昨年はマレーシアの政府系投資会社、1MDB(マレーシア・デベロップメント)をめぐる39億ドル(約4565億475万円)相当の資金フローに関与し、業務停止を命じられたスキャンダルが記憶に新しい。今回のデジタル改革は、そうした汚名挽回を狙う意図があるとロイターは報じている 。

米国の投資会社ではフィデリティ・インベストメンツが仮想通貨に強い関心を示しており、コインベースの口座とリンクさせた仮想通貨残高照会サービスをサイト上で提供している。

またアビゲイル・ジョンソンCEOは、「ビットコインやイーサリアムについての研究・実験も進めている」とコメントしている。
ロボアド、AI(人工知能)、ビッグデータ、ブロックチェーンなど様々な技術を取りいれ、資産運用の価値観が大きく様変わりしようとしている。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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