中国政府がビットコインの「全面排除」を決めた、本当の理由

体制を揺るがす可能性だってある

中国がビビる理由

最近、仮想通貨の価格が急上昇して話題になることが増えている。価格が上昇するのは人々のニーズが高いからであるが、それに対して、中国政府が厳しい規制で臨んでいる。さらに先日、米国投資銀行のトップが、仮想通貨は詐欺といって一時仮想通貨の価格が下落した

かたやエストニアでは、政府が仮想通貨の発行を検討している。一体、仮想通貨の周辺で何が起こっているのだろうか。

まず、ビットコインの価格の推移を見ておこう。黎明期はほとんど価格ゼロであった。その後、2013年12月に1000ドルを超えたが、その当時取引所のひとつであったマウントゴックスが倒産したことなどもあり、その後は低迷が続いた。その後、じわじわと価格が上がっていったが、今年に入りまた急騰。そして、最近は中国政府の規制強化などで急落している、という状態だ。

そもそも仮想通貨とは何か。ビットコインは代表的な仮想通貨であるが、これまでの電子マネーとは違っている。これまでの電子マネーは本物の通貨と交換で作られており、これは、これまでの本物の通貨でない「通貨類似」、例えば商品券、「地域通貨」などと同様のものだった。

 

ところが、ビットコインには、「採掘」といって、実際に無の状態からでも作り出す、手に入れることもできる。これは、現実社会の金の採掘に似ている。もっとも、採掘はネット上で行われる。それも、無数のコンピュータで計算を行わないと採掘はできない。

筆者はパソコンマニアであるので、家ではパソコンが10台近く稼働している。ただ動かしているのはもったいないので、ビットコイン黎明期から「採掘」を実践してきた。

ただし、全体の供給量は時間とともに緩やかに増大し、あとから参加した者ほど「採掘」が困難になるという仕組みだ。これも、実際の金鉱脈を掘り当てるのと似ている。

こうした仕組みはとてもユニークだが、創始者は「Satoshi Nakamoto」という日本人だといわれている。2009年5月にネット上でペーパー(https://bitcoin.org/bitcoin.pdf)を出し、それがビットコインのもとになっていると言われているが、実際どのような人なのかは全くわかっていない。

さて、ビットコインの取引では、すべての取引に固有のビットコインIDが付与されている。そのため、理論的には資金のトレースもできるようになっており、その取引記録も実はリアルタイムでみることもできる。ただし、そのIDが誰のモノかを特定することは第三者にはできない。

筆者の目から見れば、ビットコインの中心的な技術であるブロックチェーンは、手形の裏書きをコンピュータの分散システムで代行しているようにみえる。

いずれにしても、好奇心をそそるよくできた仕組みであり、実際に、本物の通貨との交換によって国際決済を行ったり、買い物にも使用できるようになっている。しかも、既存の金融機関を経由する仮想通貨と比べれば、手数料がかからない点ではるかに安いので、かなりの人気になっているわけだ。

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