ビットコイン先物上場開始から24時間、懐疑論は収まらず-陶酔感も
Hugh Son、Sonali Basak、Hema Parmar-
先物価格が現物を大きく上回り、プレミアム巡って見方が真っ二つ
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「先物上場は多くの意味でちょっとした災難」-ビットコイン投資家
仮想通貨ビットコインは華々しくウォール街デビューを果たしたが、金融業界で懐疑的な見方は収まっていない。
米CBOEグローバル・マーケッツに米東部時間10日午後6時(日本時間11日午前8時)に上場したビットコイン先物のその後24時間の動きは、今年これまでの現物の乱高下そのものの縮図だった。先物は急騰し、サーキットブレーカーも発動。初日取引を終え、ビットコイン信奉者は活気づいたが、金融のプロの多くは遠巻きにして不安げに眺めていた。
先物は取引が成立するなど、一部尺度からすれば成功したが、初日の24%値上がりで投機を巡って従来からあった不安は増幅された。先物は投資家に空売りの手段をもたらすが、買い手はむしろ原資産を13%も上回る値を付け、サーキットブレーカーが2回発動する事態となった。値上がりには弾みがついたが、ビットコインを巡る議論も一段と活発化した。
クレセント・クリプト・アセット・マネジメントの共同創業者マイケル・カズリー氏は「プレミアムが付いたのは強気指標だ」と語る。現物に沿う価格水準から離れたことについて、「ビットコインの現物は保有できない、あるいは持ちたくない投資家が値動きへのエクスポージャーを持ちたいという需要で説明できるかもしれない」と付け加えた。
一方で先物と現物の価格差については、従来の金融業界が仮想通貨を受け入れるのは恐らく無理であることの示唆だと受け止める向きもある。先物は期日が来れば、買い手は現金を手にするため、原資産とのつながりは薄れる。このため、先物だけが独自の値動きに終始するとの懸念がある。
ビットコインに投資し、AQRキャピタル・マネジメントのマネジングディレクターをかつて務めたアーロン・ブラウン氏は「先物上場は多くの意味でちょっとした災難だ」と指摘。「現物に沿った値動きをするはずだった。サーキットブレーカーが2回も発動するはずではなかった」と説明した。同氏は「ブルームバーグ・プロフェッツ」で執筆を担当している。
ウォール街では今年、顧客取引を扱う際に利益を増やせるよう多くの資産クラスでボラティリティー拡大が切望されたが、ビットコインの価格変動は急激過ぎるとして業界団体が先週、懸念を表明。主要銀行の一部は11日も慎重姿勢に終始した。JPモルガン・チェースやシティグループ、モルガン・スタンレーなどは先物の清算を手掛けるかどうかの検証を続けていると、事情に詳しい関係者は明らかにした。CBOEに続き、CMEグループも18日に先物を上場させる。
原題:Bitcoin’s First 24 Hours on Wall Street Feed Euphoria and Doubts(抜粋)