BIS総支配人、仮想通貨「投資家保護の備えを」
金融システムへのリスク回避求める
国際決済銀行(BIS)のカルステンス総支配人は6日、各国の中央銀行や金融当局に対し、利用が拡大している仮想通貨に関し「消費者や投資家を保護するための備えが必要」との見解を示した。仮想通貨は通貨として適さず、金融システムのリスクにならないように注意を喚起した。
BISが6日、独フランクフルトでの講義録を公開した。カルステンス氏はマネーが価値を保つには、責任ある機関が保証する必要があり、公共の信頼を受ける中銀が重要との認識を示した。そのうえで「通貨を装う民間のデジタル通貨によって信頼を失墜させてはならない」と指摘した。
新しい技術が決済システムを効率化するという側面に理解を示す一方、新しい技術がよりよい技術とは限らないとした。仮想通貨は価格の大幅な変動や高い取引コスト、投資家や消費者を保護する仕組みを欠いており、「支払い手段や価値の維持、価値の尺度というマネーの役割を満たすのに適さない」と述べた。
ビットコインについては「バブルと投資詐欺と環境破壊の組み合わせ」と、厳しく批判した。中銀や金融当局に対しては、仮想通貨と実際の(法定)通貨の結びつきに注意するよう促し、仮想通貨が金融システムに寄生して金融の安定を脅かすことがないよう監視を強化することを求めた。
仮想通貨とは紙幣や硬貨といった実物がなく、インターネット上でやり取りするお金を指す。専門の取引所を通じてドルや円などの通貨と交換できる。代表的な仮想通貨としてビットコインがある