Reuters/Dado Ruvic
私は2年くらい仮想通貨マイニング(採掘)用マシンを所有していた。だが私自身、気づいていなかった。
私はPCゲームを楽しむために強力なグラフィックカードを2枚持っている。GTX1080とそのアップデート版のGTX 1080 Tiだ。そしてこれらは今、仮想通貨マイニングに最適なグラフィックカードになっている。
仮想通貨マイニングは簡単に言えば、PCを使って、デジタルでの取り引きを承認するための複雑な問題を解くこと。そのために欠かせないハードウエアが、グラフィックカードだ。
グラフィックカードはとても高価。私が買ったのは、マイナーたちがカードを買い占めて値段が高騰する前だったけれど。
私がPCでゲームをしていないとき、2枚のグラフィックカードはただそこにあるだけ、何もしていない。もちろんお金を稼いでくれない。そこで、私は仮想通貨マイニングに挑戦してみることにした。
やってみると利益が出た。だがほんの少しだけ。だがもし、もっとグラフィックカードを増やせばどうなるだろう? いくら稼げるだろう?
私のチャレンジと、8カ月間の収支を報告しよう。
なぜ仮想通貨を購入しないで、マイニングするのか?
仮想通貨はマイニングしなくても、購入できる。だがお金が必要だ。
私の目標は、購入するよりも少ないコストで、可能な限り多くのビットコインを手に入れること。当然だ。
利益が多少なりとも出せるかどうかは、まずはマイニングに必要な電気代、そしてマイニングのために追加購入したパーツ代をカバーできるかどうか。マイニングが仮想通貨の購入よりもお金がかかるようになったら、その時は中止しよう。
ビットコインがマイニングできたら、すぐに現金に替えよう。ビットコインを貯めて、いろいろな望みを叶えたい。
マイニング用マシン
Antonio Villas-Boas/Business Insider
2台のマイニング用マシンを用意した。地下室のマイニング専用マシンと、オフィスにあるゲーム用PC。マイニングに使うグラフィックカードは、以下のとおり。
- GTX 1080 Ti、1枚、ゲーム用PCに
- GTX 1080、1枚、マイニング専用マシンに
- GTX 1060 6 GB、3枚、マイニング専用マシンに
GTX 1080 TiとGTX 1080は、もともとゲームに使っていたものなので、今回の「投資」には含めない。
お金がかかったのは、マイニング用に新たに購入したパーツのみ。つまり、3枚のGTX 1060、安価なプロセッサーと安価なマザーボード、電源。
追加購入したパーツ代は1601ドル(約17万円)、これがまず、マイニングで回収すべき金額
カッコ良いマシンではない。だがあくまでも実験。だから見た目にはこだわらなかった。上の写真みたいに、かっこ良く仕上げているマイナーもいる。
どうやって始めればいいのか、グーグルやRedditで検索
数分検索して、ナイスハッシュ マイナー(NiceHash Miner)というWindows用のソフトウエアを見つけた。初心者には良さそうだ。
ナイスハッシュ マイナーをインストールして、アカウントを作り、ボタンを押す。それだけでマイニング開始!
グラフィックカードの動作速度を上げた。だがやり過ぎると危険
ソフトウエアを使って、少しでも多くのビットコインをマイニングできるように、グラフィックカードの動作速度を上げた。
だが、やり過ぎると、高価なグラフィックカードをダメにする可能性もあるので要注意。カードが壊れたら、マイニングスピードも落ちる。それにカードが400ドルのただのペーパーウエイトになってしまう。
上のGIF動画のようにならないように。
カードが壊れないよう、冷却に注意
電子製品は熱に弱い。長期間熱にさらされると、性能が落ちる。
仮想通貨マイニングは、グラフィックカードを壊しているようなもの。マイナーは通常、カードを24時間、動かし続ける。その時、大量の熱が出る。カードを冷却するために、ファンをハイスピードで動くようセッティングした。
と同時に、速く動かし過ぎないようにした。熱とファンのスピードのバランスが重要。
いくらマイニングできたのか?
Screenshot
ナイスハッシュ マイナーを使った現状のセッティングで、1日あたり0.0015ビットコイン、マイニングしている。
1日あたり何コインも手にする大掛かりなマイニングと比べると、歩道に落とした小銭を探すようなものだ。1ビットコインの価格は、現在約8200ドル(約89万円)。つまり1日あたり約12ドル(1300円)、1年で約4500ドル(約49万円)となる。
マイニング収入 vs 電気代
Pavel L Photo and Video/Shutterstock
マイニング中、グラフィックカードは大量の電気を消費する。仮想通貨マイニングが儲かるかどうかを検討するときに、電気代は大きなコスト要因となる。
私が住んでいる地域は電気代が高い。マイニングで1日の電気代は、5ドル32セント(約580円)かかった。1年で1945ドル(約21万円)。
1年間のマイニング収入4500ドルから電気代を引くと、年間の利益は約2555ドル(28万円)。
追加パーツにもお金がかかっている
マイニングで年間2555ドルの収入となるが、マイニングのために追加購入したパーツのコストもある。
2555ドルからパーツ代の1601ドルを引くと、年間の純利益は954ドル(約10万円)。
マイニングで利益を出している限り、私は基本的にはタダでビットコインを手に入れ、購入したパーツは利益を生み続ける。そうでなくなったときは、マイニングをやめ、パーツをネットで売却することになるだろう。
これはギャンブル
今はビットコイン価格が大幅に下落する前に、追加購入したパーツの代金を稼ぎたいとだけ考えている。まだ、出費をカバーするためにパーツを売ることもできる。
現時点でいくら稼いだのか?
REUTERS/David Gray
約2週間のマイニングで、ほぼ0.02ビットコインをマイニングした。つまり165ドル(約1万7800円)。
電気代の75ドルを引くと、2週間で90ドル稼いだことになる。だが追加購入したパーツ代は、まだ稼げていない。
マイニングをやるべきか?
もしゲーム用PCを持っていて、GTX 1060や上位モデル、あるいはAMDの同等のグラフィックカードを持っているなら、やってみよう! ただし、電気代がどれだけかかるかを考慮しよう。
私は電力計を使ってマイニングに使った電力を測定し、電気代を割り出した。
それ以外に、追加のパーツが必要なら? 一概にアドバイスすることは難しい。さまざまな検討項目がある。例えば、ビットコイン価格は変動する。また追加購入したグラフィックカードは、新モデルが出たときには効率的にマイニングできなくなるリスクもある。
より強力なグラフィックカードが発売されると、マイナーはすぐに古いカードを交換する。マイニング作業の難易度は上がり、古いグラフィックカードは効率が落ち、マイニングの時間がかかるようになる。一方、消費する電力は変わらない。
マイニング用マシンの効率を保ちたければ、古いカードを売って、新しいモデルを買わなければならない。もちろん、誰も進んでやろうとは思わないことだ。
さらに、お金を生み出すペースは極めて遅い。巨大なマイニング体制を計画しているなら別だが。
だが、PCをいじることが大好きで、仮想通貨の最先端に常に触れていたいなら、トライしてもいいだろう。