時は2017年師走。筆者は自室で震えていた。
話せば長くなるので割愛するが、諸事情により5畳ほどの自室からエアコンがなくなったのだ。自室にはデスクトップPCを置いており、もろもろのソフトウェア環境が一番整っているので震えながらキーボードをたたいているというわけだ。
暖房の効くリビングで、ノートPCからリモートデスクトップで作業する選択肢もあるが、遅延や操作性を考えるとやはり直接操作が望ましい。室温さえ考慮しなければ。
取りあえず暖房器具を買わねば――そう思って通販サイトをブラウジングするが、どの暖房器具を見ても“あるスペック”が目を引く。
「消費電力 1000W」――。製品によって差はあれど、およそこれくらいの電力を消費する暖房器具が多いようだ。なぜ、この数字に注目するのか。筆者は、以前PC USERで「ゲーミングPCで仮想通貨マイニングはできるのか」という記事を執筆していた。その際にグラフィックスカード2枚でのマイニングを試し、約500Wの電力を消費することを観察していたのだ。同記事では結びにこのようにも記していた。
「マイニング中はグラフィックスカードの温度が60℃〜70℃まで上昇する。(中略)これから肌寒い時期になってくればその心配はない。むしろ、マイニングすることで部屋も暖まり一石二鳥になるかもしれない」
部屋をただ暖めるために1000Wを消費するか。それとも、仮想通貨で報酬を得ながら部屋を暖めるか。答えは1つ。早速、筆者はとあるショップへ電話した。
―― もしもし、浦田さん。
浦田氏 おや、前回ゲーミングPCとマイニングPCを両立したいとかいうむちゃ振りをしてきた井上さんじゃないですか。
電話したのはパソコンSHOPアークを運営するタワーヒルの浦田優樹氏だ。前回むちゃ振りに乗ってもらったし、今回もむちゃ振りを通しやすいだろうと思って頼ってみた。
―― かくかくしかじかで、マイニングPCを暖房に使ってみるという企画をやろうと思っていて。そんな話を上司にしたら軽くあしらわれたんですけど、部屋を暖めるのってきついですかね?
浦田氏 いえ、そんなことないと思いますよ。うちもBTOマシンを組み立てる部屋はマシンの廃熱だけで暖かいですし。
―― お、希望が見えてきた! またこの間のマシンをお借りしたいんですが、前回グラフィックスカードを4枚刺そうと思ったらカードの高さの問題で刺さらなかったじゃないですか。暖房のためにも、今度は40mm未満のカードも4枚お借りできればと思うのですが。
浦田氏 NVIDIAの『GeForce GTX1070』くらいで大丈夫ですかね。干渉しないものを見繕ってお送りしますね。
―― ありがとうございます!
こうして、筆者は冬を越せる秘密兵器を手に入れた。
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