中銀は「仮想通貨発行前に熟考を」=BIS報告書

中銀は「仮想通貨発行前に熟考を」=BIS報告書
 3月12日、国際決済銀行(BIS)は発表した報告書で、中央銀行は独自の仮想通貨を発行する前に潜在的リスクや影響について熟考すべきだと警告した。写真はバーセルのBIS本部。昨年10月撮影(2018年 ロイター/Arnd Wiegmann)
[ロンドン 12日 ロイター] - 国際決済銀行(BIS)は12日発表した報告書で、中央銀行は独自の仮想通貨を発行する前に潜在的リスクや影響について熟考すべきだと警告した。
報告書は米連邦準備理事会(FRB)や欧州中央銀行(ECB)などがメンバーのBISの2つの委員会が作成。中銀発行デジタル通貨(CBDC)について警戒的な姿勢を示している。
市場委員会のロー委員長(シンガポール金融管理局副長官)は「現時点でわれわれが完全には理解していないリスクが存在する。CBDC導入に進む前に、注意深く徹底的な検討が必要だ」と述べた。
BISは銀行のような限られた対象向けの「ホールセール」デジタル通貨と、すべての人が対象となる「リテール」デジタル通貨の潜在的影響を考察。決済・市場インフラ委員会のクーレ委員長(ECB専務理事)は、リテール向けCBDCの「未知の領域」に一段と注意が必要だと指摘した。
報告書はさらに、民間銀行の主要な資金調達源である預金に影響する可能性があり、市場にストレスが発生した際に、金融の安定にも余波が及びかねないと分析している。
仮想通貨の発行に踏み出した中銀はまだないが、現金の流通が減っているスウェーデンでは、リクスバンクがリテールの少額支払い向けにデジタル通貨「eクローナ」の発行を研究中。同中銀は先月、研究が来年後半までかかるとの見通しを示した。
BISの報告書は一方、仮想通貨に使われるブロックチェーン技術(分散型台帳技術=DLT)によって、証券・外国為替取引の決済が一段と効率的に行える可能性があるとも指摘。クーレ委員長は「DLTが活動拠点だ」と述べた。

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