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次世代の仮想通貨はもっとスマートになる

VentureBeat

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新たな市場の常として、仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)市場の誕生に伴い大量のノイズや混乱が発生し、未熟な投機が横行している。投資家はほとんど勘だけを頼りに、極めて非常識な評価額のICOにも資金をつぎ込んでいるようだ。傍から見れば、こうした投資は無謀で、「根拠がなく」、詐欺的にさえ思える。規制当局や金融業界の重鎮はこれをあざ笑い、非難している。

それでも、ICOの投資家は開拓者だ。手元にほとんどデータがないのに膨大なリスクを引き受け、大当たりを見込んで分の悪い賭けに挑むテクノロジーの山師だからだ。これはいちかばちかの大勝負で、彼らは迫りつつあるテクノロジーの大転換に加わりたいと考えている。多くのデジタルトークン(権利証)の急騰ぶりを考えると、彼らの熱狂はあながち無謀ともいえない。

「妥当な投機」は「根拠なき熱狂」ではなく、変則的なテクノロジーの時代に突入する必要経費だという意見もある。どのICOやトークンが成功するかは言い当てられないが、テクノロジーの山師にとって、暗号トークンへの投資はカテゴリーや投資ポートフォリオとして健全であり、存続するのは確実なのだ。世界の経済、金融、通貨システムを塗り替える重大な事態とみているのだから当然だろう。

現在のICOの氾濫は、市場が創造的破壊をもたらすテクノロジーやプロトコルを探し求めていることの表れだ。これに伴う資金調達力の乏しいトークンの排除、摘発、ダーウィンの進化論に基づく淘汰は市場のリセットにほかならず、新たなシグナルが現れ始めている証左だ。これは爆発的な速さで、伝統や前例を完全に無視して起きている。まさにシュンペーターが唱えたパラドックス「創造的破壊」の典型例だ。

仮想通貨1.0――原理主義者

(制定時の意図に沿って解釈すべきだという立場の人)

トークンの起爆剤になったのは、信頼性の高い(管理者がノードの参加をコントロールできる)/信頼性の低い(誰でもノードに参加できる)サービスの完全分散型の(自律的な)ピア・ツー・ピア(P2P)ネットワークという考え方だ。あたかも(ファイル共有サービスの)ビットトレントの通貨版をめざそう、というものだ。中央集権的なコントロールや、特定の利害関係者に独占されることはない。権限が分散され、アルゴリズムで制御された自律的な状態を将来像としている。

これが「仮想通貨1.0(Crypto 1.0)」だ。議論や仕組みは「サトシ・ナカモト」と名乗る人物が考案した概念と、その基盤となる合意形成の仕組み「プルーフ・オブ・ワーク」「プルーフ・オブ・ステーク」、ハッシュ関数「SHA-256」、ノードの自由な参加、パブリック型ブロックチェーンという枠組み内にとどまる。

仮想通貨「イーサリアム」のブロックチェーン上に構築された「スマートコントラクト(自動化された契約=支払いと同時に契約が完了する仕組み)」の余地もあるが、これはコストがかかり、性能の問題がある。仮想通貨「ビットコイン」や「イーサ」の採掘(マイニング)でかなりの報酬を稼げることを考えると、マイニングはブロックチェーンをオープンにしておくための、干渉を許さないインセンティブの仕組みだと見なされるのも驚きではない。創設当初からの採掘者(マイナー)や仮想通貨の所有者にとって、ナカモト氏が考案した自由主義的な枠組みからの逸脱はあり得ない。存在するのは「仮想通貨1.0」のみで、これを改定し、改良するだけだ。

一方、現実への対応を迫られているグループもある。

仮想通貨2.0――現実主義者や改革者

現実主義者は新たなトークンやブロックチェーンを投入する際には、ナカモト氏の概念では説明されていない多くの検討事項に対処しなくてはならないことを理解している。こうした検討事項には、登録業者が扱う仮想通貨「ホワイトリスト」、本人確認(KYC)/マネーロンダリング対策(AML)、プライバシー、不正行為、セキュリティー、トランザクションの性能、ストレージ、スケーラビリティー(処理能力の拡張性)、適応力、リカバリー(回復力)、顧客満足度のサポート、そして相互運用性などがある。現実主義者はブロックチェーンの取引機能を向上させる「サイドチェーン」やプライベート型ブロックチェーン、マスターノードを扱い、信頼性の高い取引や安全で使い勝手の良いウォレット(電子財布)の開発に取り組んでいる。これにより、ビットコインとイーサリアムという正統派に挑む代替的な解決策を提供している。

適応プロトコル

ブロックチェーンの応用やサービスが普及するのに伴い、イノベーション(技術革新)の場はスマートコントラクトや交換可能な「スマートトークン」に移りつつある。不確実性やバブル、市場操作の影響にさらされず、安定した価格や調整されたリスク、多様性、流動性などの一部または全てを保つために、変化に適応できる新世代のトークンの設計が進められている。これは現行の経済、金融、通貨システムでは考えられない。だが、人工知能(AI)の機械学習、リアルタイムのデータフィード(データを自動またはオンデマンドでサーバーから顧客に配信する仕組み)、プログラマブルな契約、適応アルゴリズムを駆使することで、金融商品を自己規制するトークンプロトコルが設計できるようになる。これにより、価格変動への耐性が強く、風説の流布による市場操作を平準化し、流動性を保つことができる「安定した」トークンが登場する可能性がある。さらに、上場投資信託(ETF)のように、好ましい結果を保つために様々な種類のトークンを売買できるトークンの「スマート」バスケットも実用化できるかもしれない。

適応プロトコルは一定の範囲内の成果(恒常性)を維持するために、様々な種類のトークンの取引を管理する自動修正型プログラムだ。こうしたプロトコルを使えば、昔ながらの市場の失敗を回避できる。価格機能に単一化したせいで情報の多様性を失った市場の価格形成メカニズムを使うのではなく、様々な特徴や価値を反映するように設計され、全体的な安定をコントロールできるようになる。

この問題はロボットや自動運転車の設計者が最近克服した問題によく似ている。センサーが収集した不完全で広範で、ばらつきのある大量のリアルタイムのデータを使い、いかにして自律的な行動や結果を安定させ、監督するかという問題だ。この問題は米国防高等研究計画局(DARPA)が支援した自動運転車と「ROS(ロボット・オペレーティング・システム)」向けのオープンソースのライブラリーの進化により、効果的に解決された。自動運転車は近いうちに実用化するめどが立ち、米ボストン・ダイナミクスのロボットは完璧な後方宙返りを決められるまでになっている。

真のAIとバブルの根絶

AIを使ったプログラムは極めて不確実で値動きの荒い状況でも、一定の成果を保つように行動を制御できる。AIのアキレス腱(けん)は、一度も見たことがないモノや出来事をプログラムできないという「硬直性」だった。これを克服したのは非常に重要だ。多くの人を破綻させる手段ではなく、ダイナミックな範囲の流動性、支払い能力、リスクを守る検証可能で安定した「多くを豊かにする手段」になる「デリバティブ」が設計可能になる状況を想像してほしい。

真に賢くなるのは、過ちから学んだ場合だ。市場はこれをせず、衝突して炎上するまで暴走する。フィードバックはなく、過去の経験から学ばず、すぐに修正する方法もない。そこで必要となるのが、少数の恵まれた人を除く全ての人の不利益に対する「創造的破壊」だ。デフォルトや取引相手の経営破綻の連鎖で価格が暴落し始めると、特権的な情報や資源を持つ人は自己防衛モードに入り、情報や権力のない人にリスクやコストを押し付ける。これが資本主義と市場につきものの相場の波の元凶だ。次世代の金融システムではそうはならない。

実社会での応用に対応した仮想通貨2.0世代のトークン、プロトコル、プラットフォームが登場しつつある。アイデンティティーや信頼性、評価、プライバシー、KYC/AMLなど、新たな金融・経済システムの構築における喫緊の課題に対処したトークンが増えるだろう。

世界の金融改革に必要なのは、トークンのような分散型スマートテクノロジーの導入とイノベーションを大幅に加速させることだ。この変革は想像以上に早く到来するだろう。新たな世界では、AIトークンとプロトコルが実用的な評価の検証可能な市場のシグナルを提供してくれる。ついに数学やアルゴリズム、エビデンスが魔術や投機、行き当たりばったりの浪費、市場操作に取って代わることになる。これが実現すれば、持続可能でより公正な世界経済への道のりは加速するだろう。

By John H Clippinger=トークン「Swytch(スイッチ)」を発行するスイスのトークン・コモンズ財団の共同設立者。米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの研究科学者

(最新テクノロジーを扱う米国のオンラインメディア「ベンチャービート」から転載)

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