サイバーエージェント、2019年中に独自の仮想通貨発行へ ── 取引所参入は断念

サイバーエージェントビットコインは、2019年中に独自の仮想通貨の発行を目指す方針を固めた。同社は、2018年春に仮想通貨取引所の設置を目指していたが、取引所事業への参入は断念する。

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仮想通貨の取引所業界は、大手の参入が相次ぎ、競争が激化している。さらに、コインチェックの仮想通貨流出事件後、金融庁が取引所に対する監督を強化したことで、先行きの不透明感が強まっている。

こうしたことから、「エンタメ金融」を打ち出しているサイバーエージェントビットコインは、独自の仮想通貨の研究に注力する方針へと転換した。サイバーエージェントビットコインの卜部宏樹社長が明らかにした。

サイバーエージェントビットコイン

サイバーエージェントビットコインは、サイバーエージェントの完全子会社として2017年10月に設立された。設立後は、資金決済法で義務付けられている仮想通貨交換業者としての金融庁への登録を目指し、手続きを進めていた。

しかし、2018年1月26日、コインチェックから580億円相当の仮想通貨NEMが流出する事件が発生し、金融庁が既存の交換業者への監督を強化した。金融庁への登録が完了している仮想通貨交換業者16社と、審査中のみなし業者に対して、順次立入検査し、業務の停止や業務の改善を命じている。

一方で、金融庁が既存の交換業者とみなし業者への監督を強化したあおりで、サイバーエージェントビットコインを含む新規の登録を目指す業者の審査については、先送りとなっていた。

さらに、競争環境も激変している。2018年4月に入って、マネックスグループがコインチェックを買収し、ヤフーの完全子会社Zコーポレーションが交換業者ビットアルゴ取引所東京への資本参加を発表した。また、現時点でみなし業者16社のうち少なくとも7社が取引所事業から撤退することが判明している。

(関連記事:“みなし”仮想通貨取引所に淘汰の波 —— CAMPFIREら6社が登録断念

こうした事業環境からサイバーエージェントビットコインは、登録手続きが長引くことによる取引所事業への参入の遅れは、競争力の大幅な低下につながると判断した。

サイバーエージェントは2017年12月、仮想通貨やブロックチェーン関連の事業を展開しているセレスに出資。サイバーエージェントビットコインは、セレスの関連会社である交換業者ビットバンクから、技術面で支援を受けるなど連携を深めている。

今後、インターネットテレビ局AbemaTVやゲームなど、サイバーエージェント・グループが展開する事業での独自の仮想通貨の活用に向け、研究と開発を進めることにしている。

卜部宏樹

取引所立ち上げから独自の仮想通貨の発行にかじを切った、サイバーエージェントビットコインの卜部宏樹社長

撮影:小島寛明

卜部社長はBusiness Insider Japanの取材に、「独自の仮想通貨を通じてサイバーエージェントの経済圏を広げていくため、引き続き努力していく」と語った。

(文:西山里緒、小島寛明)

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