17年はじめから約12億ドル(約1312億円)の仮想通貨が盗まれたことがわかった。ロイターが24日、米アンチフィッシング・ワーキング・グループ(APWG)の研究結果として報じた。

 12億ドルという数字は、通報された被害と未通報の被害を合算したもので、そのうち回収されたと推測されるのは約20パーセント以下だ。

 APWGの会長も務める、仮想通貨セキュリティー会社サイファー・トレースのデーブ・ジェバンスCEOは、新たな「EU一般データ保護規則」(GDPR、5月25日に施行された)は世界の法執行機関が仮想通貨の窃盗犯を発見する能力にマイナスの影響を与えるだろう、とロイターに語った。

「GDPRはインターネットのセキュリティ全体にマイナスの影響を与え、意図せずサイバー犯罪者を手助けすることになる。GDPRは重要な情報の利用を制限することとなり、サイバー犯罪や仮想通貨の窃盗、フィッシング、ランサムウェア、マルウェア、詐欺やクリプトジャックの捜査を大きく妨げるだろう」

 新たなGDPR規制は、欧州のドメインデータがインターネットデータベースのWHOISに追加されなくなることを意味するため、捜査官はサイバー犯罪者の訴追に必要なデータへのアクセスを失うことになる。

「これから起きるのは、欧州市場が見えなくなるということだけでない。欧州から世界にアクセスすることは実際にできる一方でそのデータを得られる手段はもはやないのだから、ならず者たちがみな欧州に流れ込むことになる」