松本大(まつもと・おおき)/1963年生まれ。東京大学法学部卒。米金融大手のソロモン・ブラザーズやゴールドマン・サックスに勤務。99年にオンライン証券の草分けであるマネックス証券を設立。2004年にはマネックス証券の持ち株会社であるマネックスグループを立ち上げ、証券とグループの経営トップとなった。15年に証券の社長はいったん離れたが、17年に復帰。現在はマネックスグループの会長兼社長で、証券の社長も兼務している(撮影/多田敏男)
松本大(まつもと・おおき)/1963年生まれ。東京大学法学部卒。米金融大手のソロモン・ブラザーズやゴールドマン・サックスに勤務。99年にオンライン証券の草分けであるマネックス証券を設立。2004年にはマネックス証券の持ち株会社であるマネックスグループを立ち上げ、証券とグループの経営トップとなった。15年に証券の社長はいったん離れたが、17年に復帰。現在はマネックスグループの会長兼社長で、証券の社長も兼務している(撮影/多田敏男)
マネックスグループの松本社長と4月に会見したコインチェックの和田晃一良・前社長。現在はコインチェックの執行役員となる (c)朝日新聞社
マネックスグループの松本社長と4月に会見したコインチェックの和田晃一良・前社長。現在はコインチェックの執行役員となる (c)朝日新聞社

 580億円分もの仮想通貨NEM(ネム)の不正流出で、世間を騒がせた仮想通貨交換業者「コインチェック」。ネット証券のマネックスグループの完全子会社として再建しようとしている。グループトップの松本大会長兼社長(54)に、なぜ仮想通貨に力を入れるのか直撃した。

【写真】松本社長と4月に会見したコインチェックの和田晃一良・前社長

 コインチェックはハッカーに安全対策の甘さを突かれた。金融庁から2度も業務改善命令を受け、業務は5月19日の時点では、一部の仮想通貨の出金や売却に限られている。改正資金決済法に基づく仮想通貨交換業者への登録について金融庁に申請しているが、いつ認可されるかはっきりしていない。流出問題を巡ってはサービス停止などにより損失を被ったとして、利用者から提訴されている。

 多くの課題を抱えるがマネックスグループの創業者で、金融業界の改革者としても知られる松本社長は、仮想通貨の将来は有望だと断言する。主なやりとりは次の通り。

――コインチェックの業務はいつ全面再開できますか。

 4月6日の会見では、2カ月程度を目標にサービスを再開させたいと発言しました。改正資金決済法に基づく仮想通貨交換業者への登録については、金融庁が判断することです。私たちには再開の時期は分かりませんが、私たちは2カ月ぐらいを目標にサービスを全面再開できるよう、粛々と作業を進めています。

 金融庁からは、内部管理体制の強化を指摘されているので、セキュリティー対策も含めて改善していきます。

――コインチェックの2018年3月期の業績は、NEM流出の損失があっても黒字を確保できました。今後の業績の見通しは。

 セキュリティー対策や内部管理体制の強化、顧客サービスの充実などをやっていくと、当然コストもかかる。規制なども厳しくなっていくでしょう。他社との競争も激しくなり、収益力は今よりも落ちると思います。

 一方で、マネックスグループとしてしっかりコインチェックを支えて信頼を取り戻していけば、きっとお客様は戻ってくる。新しい顧客も増やすことができると思っています。コストが増え、収益力は減ったとしても、顧客基盤は増やせれば、利益は上げていけます。

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