スマートフォン向けのゲームを提供するgumi(東京都新宿区)が、仮想通貨とブロックチェーンに関連する企業への投資に特化したファンドを立ち上げた。ファンドの規模は3000万米ドル(約32億円)で、すでに仮想通貨で資金調達するICO(Initial Coin Offering)プロジェクトに投資をはじめている。
社長の國光宏尚氏は「ブロックチェーンでなければできないことを追求しているプロジェクトに投資し、ブロックチェーン領域でグローバルで先行するポジションを確保する」と話している。
仮想通貨・ブロックチェーン領域に投資するファンドを立ち上げた國光宏尚氏。
同社は、2018年2月1日に合同会社gumi Cryptosを設立。日本の大手金融機関を含め、国内外の複数の有力企業から出資を得たという。ファンドの運営には、はやい時期からICOプロジェクトへの投資をしているミコ・マツムラ氏も参画する。
ICOは、スタートアップ企業が、世界中の人たちから資金調達ができる仕組みとして注目を集めている。アメリカを中心に100億円を上回る資金調達に成功するICOプロジェクトが続出した。一方で、多額の資金を集めたまま、実施者の行方がわからなくなった事例や、具体的な製品やサービスの開発がまったく進まないプロジェクトも報告されている。
ICOプロジェクトでは、事業計画書に相当するホワイトペーパーを公表して投資を募る手法が一般的だが、gumiのファンドとしては、実際にプロジェクトの実施者に会い、事業計画が技術的に実現可能かなども査定したうえで、投資を判断する。
gumiが現時点で公表している投資先は5社で、いずれも米国のスタートアップだ。
- Basis:価格変動を抑制するアルゴリズムを用いた仮想通貨の開発
- Robot Cache:ゲームの販売、再販ができる分散型プラットフォームの開発
- Origin:仲介なしで車や住居などをシェアするプラットフォームの開発
- Pryze:懸賞を自動的に、低コスト、公平に実行するプロトコルの開発
- Theta:動画配信を高速、低コストで行う分散型ネットワークの開発
國光氏は「残念ながら、いまのところ投資を検討している日本のプロジェクトはゼロ。今後、日本のスタートアップを育てる仕掛けにも取り組みたい」と話している。
(文・小島寛明、写真・今村拓馬)