仮想通貨を勝手に採掘するクリプトジャッキングの最悪の犯人演算リソースの不正利用をどう防ぐか

無断でPCやサーバの演算リソースを使って仮想通貨を採掘(マイニング)する「クリプトジャッキング」が問題になっている。中でも「ある人物」による犯行は検知が難しい。

2018年06月14日 08時00分 公開
[Paddy FrancisComputer Weekly]

 ビットコインなどの仮想通貨の台頭に伴って発生しているのが、「クリプトジャッキング」(Cryptojacking)だ。パブリックのブロックチェーンは、採掘者(マイナー)と呼ばれる多くの異なるエンティティーを信頼してチェーンの状態を管理する。採掘者は報酬を得るため、競って新しいブロックをチェーンに作成する。

 採掘者は、新しいブロックに取引を正しく記録していることを証明するため、その新しいブロックで特定の基準を満たす署名(シグネチャ)を計算する必要がある。そのためには試行錯誤を繰り返すしかない。基準を満たす答えが見つかるまで、そのブロックにランダムな値を追加することになる。この答えを最初に見つけた採掘者が仮想通貨の報酬を受け取る。これにより採掘者の不正行為を防げるが、この競争に勝利するには膨大な演算能力が必要になる。

 結果として、分散コンピューティングを利用する採掘者も登場している。この分散コンピューティングには、PCの所有者の許可を得るものと得ないものがある。これは広告に代わるWebサイトの収入源として合法的に行うことができると提唱されていて、そのためのソフトウェアも開発されている。これは「Monero」(モネロ)などの新しい仮想通貨と共に広く普及している。だが、残念なことに、一部のWebサイトでは、ユーザーの許可を得ることなくアクセスするソフトウェアが不法に使用されている。

 こうしたスクリプトベースの攻撃は、情報を盗み出そうとしたり、あからさまなサービス拒否を引き起こしたりしなければ、それ自体に悪意があるわけではない。また、ブラウザやタブが閉じられると即座に停止する。ただし、ユーザーのPCの速度低下や電力消費量の増加を引き起こし、モバイル端末ではバッテリーを消耗させることになる。

 スクリプトベースの攻撃から保護する最も簡単な方法は、JavaScriptを無効にすることだ。ただし、この方法は必ずしも望ましくない。「Firefox」や「Chrome」など一部のブラウザには、クリプトジャッキングのブロックを目的とするブラックリストを利用するアドオンがある。クリプトジャッキングからの保護機能を組み込んでいるブラウザもある。また、採掘者がクリプトジャッキングを行わないようにブロックできる広告ブロックプログラムも多数存在する。ただし、クリプトジャッキングソフトをホストするWebサイトは、標準のWebフィルタリングシステムやDNSフィルタリングシステムによって望ましくないサイトとしてブロックされる。

 ユーザーのPCやサーバにマルウェアのインストールを試みる、より深刻な手口のクリプトジャッキングもある。従来のフィッシング攻撃とは異なり、この種の攻撃は、最も強力なPCやサーバに狙いを定めてマルウェアのインストールを試みる。繰り返しになるが、データを盗んだり、あからさまなサービス妨害を行ったりする意図はない。だが、プロセッサの使用率が連続的に高くなり、サーバの電力消費量と空調設備の電力消費量が増える。こうした攻撃を防ぐには、サーバアプリケーションのホワイトリスト登録、ネットワークの監視、ウイルス対策技術など、他のマルウェアと同じ対策が必要になる。

 たが、クリプトジャッキングの最も深刻な脅威は他にある。




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