「ビットバンク」のレンディングには、1カ月で数十億円の申し込みが。今後、他の通貨へも広げる予定という
「ビットバンク」のレンディングには、1カ月で数十億円の申し込みが。今後、他の通貨へも広げる予定という

 昨年、バブルを起こした仮想通貨。今年1月には全体の時価総額が80兆円超へと膨れ上がったが、直後に大手交換業者コインチェックのハッキング事件が直撃。仮想通貨の代表格であるビットコイン(BTC)価格は1カ月弱で高値から4分の1にまで下落してしまった。今では全体の時価総額も30兆円前後。そのため「バブルは崩壊した」という声も聞こえてくる。

 しかし、BTC価格が最安値近辺にあるからこそ、注目を集め始めた仮想通貨投資法もある。仮想通貨を貸して、金利収入を得る「レンディング」だ。

「3月に開始を発表して、5月からサービスを開始しました。1カ月の募集期間で、円換算にして数十億円の申し込みがあり、6月には100億円を超える勢いです」

 こう話すのは、国内大手交換業者の一つ「ビットバンク」の三原弘之COO。もともと国内ではコインチェックだけがレンディングサービスを提供していたが、ハッキング事件を受けてサービスを停止。その間隙を縫ってビットバンクが参入した。「仮想通貨がフィアット(法定通貨)のように普及していくには、フィアットと同等以上のサービスが不可欠と考えていたので、“定期預金感覚”で利用できるものにしようと考えた」(三原さん)という。

 仕組みは単純。自分で保有しているBTCをビットバンクに預ければ1年後に利子を上乗せして受け取ることができる。利率は1BTCの預け入れで年利3%。10BTC以上なら最高利率の5%となる。

 同じく国内交換業者のGMOコインも「貸仮想通貨」の名で同様のサービスを提供しているが、こちらの最少預入額は10BTC。年利は5%で、ビットバンクとほぼ条件は一緒だが、満期が90日間と短いうえに、イーサリアムやビットコインキャッシュ、ライトコイン、リップルという主なアルトコイン(BTC以外の仮想通貨)のレンディングも可能になっている。これらの交換業者は借り入れた仮想通貨を運用することで、収益を上げている。

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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