マイニングとは? 仮想通貨を「掘り出す」
国家によって管理されない通貨として登場した仮想通貨は、投資対象としてだけでなく、国境にとらわれない決済手段としても注目されています。仮想通貨を入手するには、交換会社などを通じて購入するほかにもう一つ、自ら仮想通貨を「掘り出す」という方法があります。マイニング(採掘)と呼ばれるこの方法はどのような仕組みなのでしょうか。
▼仮想通貨、信頼性の根拠
仮想通貨は、全ての取引の記録をインターネット上に保存する「ブロックチェーン(分散型台帳)」と呼ばれる技術に支えられています。一定の時間ごとに作られる「ブロック」に世界中の仮想通貨の取引を一つ一つ全て記録し、ブロックを鎖の様に次々とつないで保存する仕組みです。これによって過去の取引データの書き換えを事実上不可能とすることで、仮想通貨の信頼性を担保しています。
▼仮想通貨は「みんな」が支えている
仮想通貨のブロックチェーンは世界中の情報端末から接続できるネットワーク上に保存されており、仮想通貨の全ての取引を正確に記録するには膨大な計算処理が必要となります。有志の個人や企業などの端末がこの計算処理を担っています。
▼仮想通貨を「採掘」する
計算処理に協力した端末に対しては、その貢献度に応じて新たに作成された仮想通貨が報酬として支払われます。計算処理に協力して報酬の仮想通貨を受け取ることを、鉱山で金を掘り出すイメージから「マイニング(採掘)」と呼び、マイニングの参加者は「マイナー(採掘者)」と呼ばれます。
代表的な仮想通貨であるビットコインの場合、1日あたり1800BTC(13億円相当)が新たに作成され、マイナーへの報酬として分配されています。
▼参加端末は急増中
仮想通貨の高騰に伴ってマイニングに参入する個人や企業は急増。計算処理に貢献すればするほど報酬の仮想通貨を多く得られるため、多数の高性能端末を用意する企業もあり、マイニング競争は日に日に激しくなっています。
端末がマイニングの計算処理を行うスピードを示す「ハッシュレート」(採掘速度)という指標があり、PH/s(1PH/sは「1秒あたり1千兆回の計算が行われている」ことを示す)という単位で表されます。ブロックチェーンの情報サイト「blockchain.info」によると、ビットコインの場合、2017年7月時点でマイニングに参加している全端末のハッシュレートの合計は約5800PH/s。相場が高騰し始めた昨冬から伸び始め、18年1月には約1万5千PH/s、同4月には約2万8千PH/s、7月には約3万7千PH/sと右肩上がりで伸び続けています。
▼他人の端末の能力を借用する
マイニング競争激化を背景に、最近は自分の端末だけでなく、他人の端末の能力を利用してマイニングを行うソフトも増えています。主な使い方としては、ソフトをウェブサイトに設置しておき、サイトを閲覧した人の端末で計算処理を行わせ、報酬の仮想通貨は自分が得るという仕組みです。
情報セキュリティのトレンドマイクロによると、国内でのマイニングソフト検出数は2017年4~6月までは1千件程度でしたが、7~9月は約8千、10~12月は約13万5千件と急増。18年1~3月は18万件を突破しました。
仮想通貨とは紙幣や硬貨といった実物がなく、インターネット上でやり取りするお金を指す。専門の取引所を通じてドルや円などの通貨と交換できる。代表的な仮想通貨としてビットコインがある