イベントレポート

HashHub、ブロックチェーン特化型コワーキングスペースをオープン

東京・本郷をブロックチェーン開発の中心地に

 株式会社HashHubは8月2日、同社の主軸事業となるブロックチェーンコワーキングスペースをオープンさせた。ブロックチェーン領域に特化した起業家や開発者が、集中してプロジェクト開発が行える環境を、東京・本郷にて提供していく。コワーキングスペースの完成を記念して、「メディア向けセッション」が開催され、施設が公開された。

照明はブロックチェーンをイメージし、1本でつながっていると説明するHashHubのビール依子氏
窓際のソファでは、仮眠もOKとのこと。

 「メディア向けセッション」では、施設のお披露目のほかにも、代表の東晃慈氏によるHashHubがこれから目指し、実現したいことについて、具体的にやりたい3つのことを明らかにした。

HashHub代表の東晃慈氏

①本郷を日本のブロックチェーン開発の中心地にする

 なぜ本郷なのかというと、それはまずアカデミックな雰囲気と集中して開発できる環境がここには整っているからという。東京大学をはじめ、活発な関連学生団体の存在、すでに何社かスタートアップやブロックチェーン企業が存在することも挙げられた。

 今の日本は、渋谷・六本木に仮想通貨交換業が集中し、大手町にフィンテック企業が集まっている。最近では、福岡に福岡ブロックチェーンコンソーシアムが設立されたりなど、そういった状況が見られると、東氏はいう。そこで、仮想通貨交換業、金融系との切り分けを意識して行っていきたいとのこと。

②HashHub自身として、質の高いプロダクトを連続して立ち上げる

 HashHubは、自分たちでも質の高いプロダクトを、どんどん立ち上げていきたいとのこと。プロダクト開発のプロセスとしては、Proof of Concept(PoC)プロダクトとして、新規性の高い領域、今後重要であろう技術への取り組みを積極的に行っていきたいそうだ。イメージは、イーサリアムブロックチェーンをベースにしたソリューションを多数提供する米ConsenSys社のような会社だという。

 HashHubの具体的な取り組みとして、Lightning Networkを利用した自社プロダクトの開発を行っているとのこと。Lightning for Azure、HashHub LNnode(仮称)といったプロダクトを公開した。

 Lightning for Azureは、Azureを利用して、開発者が簡単にLightningに触れるよう、参入障壁を軽減するようなプロダクトとのこと。HashHub LNnode(仮称)は、Lightningの現時点での問題、仮想通貨を送金したいと思ったときにすぐにできない「流動性」にアプローチ。世界で一番流動性の高いLNノードを目指していくという。

 また、コワーキングスペースを軸に、イベントの開催やワークショップのホストも行っていきたいという。コワーキングスペースでは、サイドチェーン技術などプロトコル開発者の支援も行っていくとのこと。

 そのほかにも、BitcoinやEthereumなどのメインチェーンの機能性を拡張、レイヤー化する、セカンドレイヤー技術にも注目しているという。

③HashHubから世界的に活躍するプロジェクトを輩出する

 日本のプロジェクトは、世界的にまったく存在感がないという東氏。その理由として、仮想通貨の交換業にばかり注目される世の中の偏重、規制や税制など制度が重荷になっていることを挙げている。言語や文化、海外コミュニティとの連携が取れないなど、海外進出に対する障壁も数多く、海外のトレンドを掴めていないといった理由を挙げた。

 そういう問題にも、HasuHubは取り組んでいきたいという。具体的な支援プランとして、暗号通貨、ブロックチェーンのビジネス、技術、税務、法務のエキスパートとの連携を行ってくこと。技術だけでない、多様で実用的なイベントやワークショップを実施し、全体の底上げをしていきたいという。HashHubのプロジェクトとコワーキングスペース入居者の巻き込みによる相互支援なども考えているという。

 さらに、海外のブロックチェーンハブとの連携も積極的に行っていくそうだ。米国のStarfish、韓国のNonceとの提携も決定しているという。具体的には人材交流や共同イベントの開催、入居者の海外進出支援なども行うことを話し合っているとのこと。

最後に

 HashHubのやりたい3つのことを公開した東氏は、最後に、暗号通貨やブロックチェーンに関わるメディアを含め、みんなで一緒に新規性の高いプロダクトの発掘をし、一緒に育てていけたらいいなと、心の内も明かしてくれた。一連の報告に対して、メディアからHashHubの目指す先は、営利なのか非営利なのか良くわからないという質問が挙がったが、東氏は、そこはバランス良くいきたい。具体的な例でいうと、コワーキングスペースの入居者に対して、企業にはエンタープライズなどの料金体系を用意するが、ブロックチェーンを自分でも開発したいというような高校生がいたとしたら、そこからはお金は取れない。しかし、ブロックチェーンの開発を行っていく人であれば、どちらも支援したいという気持ちであると、締めくくった。

アーティスティックな雰囲気もあるスペース
Miningというタイトルの絵も

高橋ピョン太