民事再生を進めるマウントゴックス(Mt.Gox)の債権者でNY州の弁護士であるダニエル・ケルマン氏が、コインテレグラフ日本版の取材に対して、債権者への返済がいつどのように行われるのかはまだ決まっていないと述べた。ここ数日、マウントゴックスが債権者への返済を開始したら仮想通貨相場が暴落するかもしれないと一部報道があった。

16日付のテレグラフ紙は、債権者への返済について次のように報じた

「マウントゴックスは、現在保有している16万ビットコインを現在の価値で利用者に分配するだろう。お金を失った投資家は、10月22日までに再生債権の届け出をすることができる。そうなれば10億ドル分のビットコインが売却されるかもしれない」

その上でマウントゴックス債権者の一人にインタビューを行い、巨額の支払いが開始されたら「マーケットが完全に暴落するかもしれない」というコメントを掲載した。テレグラフは、いつ支払いが行われるかについては明記していない。

一方、コインテレグラフ日本版がケルマン氏に確認したところ、2月に民事再生計画案の検討が終わり、一つに絞られると解説。しかし、すぐに返済開始がされる訳ではないと強調した。

「時間がかかる可能性がある。民事再生計画が承認されなければいけないし、実際に実行しなければいけない。また(2012年にマウントゴックスと提携した米ハイテク企業の)コインラブ(CoinLab)が何らかの方法でブロックしようとするかもしれない。

ケルマン氏によると、予想される再生計画は「法定通貨で損失を出した債権者に対しては100%日本円で支払われ(破産管財人はすでに合わせて4万のビットコイン(BTC)とビットコインキャッシュ(BCH)を換金した)、ビットコインを失った債権者に対しては比率に応じてビットコインとビットコインキャッシュで支払われる」と解説。現時点で比較的議論の余地がない案だという。ただ問題なのは東京地裁が、ハッキングされるケースなどを恐れていて、ビットコインとビットコインキャッシュをどのように分配するか、そのやり方を理解していない点だと付け加えた。

ケルマン氏は、昨年11月に「ビットコインの伝道者」ロジャー・バー氏などと共に昨年11月に民事再生を求めて東京地裁に申し立てを行い、6月の民事再生決定を勝ち取った立役者の一人。仮想通貨交換業者Oceanex.proの共同創業者でもある。

マウントゴックスは当初、破産手続きを行なっていたが、6月に東京地裁により民事再生決定がなされ民事再生手続が開始。マウントゴックスの破産手続きが中止されることで、ビットコインの売り材料がなくなるのではないかと市場では安心感が広がっていた。