仮想通貨業者、預金や国債保有義務化へ 業界団体ルールで=関係筋

仮想通貨業者、預金や国債保有義務化へ 業界団体ルールで=関係筋
 10月16日、日本仮想通貨交換業協会が、会員各社に対して、仮想通貨の盗難リスクに備えて預金や国債など安全資産の保有を義務づける方向で検討していることが分かった。 2017年撮影(2018年 ロイター/Dado Ruvic)
[東京 16日 ロイター] - 日本仮想通貨交換業協会が、会員各社に対して、仮想通貨の盗難リスクに備えて預金や国債など安全資産の保有を義務づける方向で検討していることが分かった。関係者が16日、明らかにした。
9月に発生した仮想通貨取引所Zaifのハッキング被害で、運営するテックビューロ(本社・大阪市)が自己資金では利用者に補償できなかったことを金融庁が問題視していた。
ロイターが入手した仮想通貨交換業協会の自主規制の原案では、オンライン環境で利用者から預かった仮想通貨の秘密鍵を管理する場合、サイバー攻撃による秘密鍵の喪失リスクを評価したうえで、当該リスクに見合った額を銀行預金や国債、地方債などの安全資産で保有するよう義務付けた。
この原案では、上記の義務を履行するか、または保全対象額について銀行などとの間で保全契約を結ぶように求めている。
ただし、オンライン環境に複数のウォレットを設け、同時にサイバー攻撃を受けない仕組みを構築している場合などは、盗難リスクの評価で考慮することも可能であるとした。
この原案では、利用者から預かった仮想通貨が流出した場合に備え、損害賠償方針の明記を義務付けることも盛り込まれている。
仮想通貨交換業協会の担当者は、現段階で協会として決定した事実はなく、コメントは差し控えるとした。その上で、今回のハッキング被害を踏まえ「適切に自主規制機能を発揮していく所存だ」と述べた。
仮想通貨交換業協会は、金融庁に登録済みの仮想通貨交換業者16社で構成。今年8月、資金決済法に基づく自主規制団体に認定するよう金融庁に申請し、同庁が審査を続けている。認定自主規制団体になると自主規制ルールが各社に適用され、協会による会員各社への処分も可能になる。
改正資金決済法では、仮想通貨交換業の参入を容易にする観点から、交換業者の財務要件は最低資本金1000万円、純資産が負でないといった条件にとどまっている。今年に入って、巨額の流出事件が続出したことを踏まえ、有識者の間で財産規制の厳格化が必要だとの指摘が出ている。
*内容を追加します。

和田崇彦 編集:布施太郎

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