仮想通貨交換業者「テックビューロ」から9月14日に約70億円相当の仮想通貨が流出した問題は、1月に交換業者「コインチェック」からの多額流出問題がおきたばかりだっただけに、批判の矛先は監督官庁である金融庁にも向けられた。ただ、仮想通貨の技術はまだ未熟で、流出を完全に防ぐことは不可能だという現実もある。対策の限界を感じつつも、「(今年に入って)3度目の流出は許されない」というプレッシャーにさらされる金融庁の苦悩は当分続きそうだ。
「監督機能は働いていたのか」「モグラたたきのような規制では限界がある」
金融庁がテックビューロに対し、3度目となる業務改善命令を行った9月25日の記者ブリーフ。集まった記者からは金融庁の規制のありかたを問う質問が相次いだ。
指摘は当然だ。金融庁は1月にコインチェックからの多額流出が発覚すると、すべての仮想通貨交換業者への立ち入り調査を実施する方針を掲げ、これまでに計17社に対し業務停止命令を含む行政処分を行ってきた。その中にはテックビューロも含まれており、3月と6月に業務改善命令が出されていた。
金融庁も「その時その時でやるべきことはやってきたが、結果として不正流出が起きたのは遺憾だ」とした上で「反省点があれば反省していかなければいけない」と述べた。
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ただ、仮想通貨に詳しい大和総研の矢作(やさく)大祐研究員は「行政の規制だけでは限界がある」と金融庁の立場にも一定の理解を示す。「交換業者はベンチャーのような企業が多く人材、セキュリティーに関するノウハウも不足している」からだ。