日本的デジタル化の落とし穴

ブロックチェーンがもたらす次の破壊と創造 第6回 日本銀行・副島豊、gumi・國光宏尚、アクセンチュア・高橋良之の3氏による鼎談

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協力:アクセンチュア

経営コンサルティング大手、アクセンチュアのコンサルタントが様々な分野のエキスパートと対談し、日本的デジタル化の要諦を探る連載シリーズ。第6回は「ブロックチェーンの産業へのインパクト」をテーマに、日本銀行決済機構局 FinTechセンター長の副島豊氏、gumi 代表取締役会長の國光宏尚氏、アクセンチュアの高橋良之氏(通信・メディア・ハイテク本部 マネジング・ディレクター)による鼎談をお届けする。

「情報のインターネット」から「価値のインターネット」へという流れが明確に

高橋 「情報のインターネット」から「価値のインターネット」へという流れが明確になるなか、ブロックチェーンという新技術に注目が集まっています。私もこの技術を大変有望だと考えていますが、その一方で企業の取り組みは、金融業界においては比較的進んでいるものの、そのほかの業界においては検討や実証実験が多いという印象です。そこで今日は、日本銀行決済機構局 FinTechセンター長の副島豊さんと、ファンドを組みブロックチェーンを活用した各種ビジネスに投資されているgumi 代表取締役会長の國光宏尚さんにお越しいただき、ブロックチェーンの産業へのインパクトについて議論したいと思います。今日はよろしくお願いいたします。

副島 ブロックチェーンがこれほど注目されたきっかけはやはり仮想通貨です。ビットコインなど多くの仮想通貨は、「分散台帳技術(DLT)」の一つであるブロックチェーンを活用して実現されています。仮想通貨は決済や送金の手数料が安いという触れ込みで登場しました。しかし、実際に買い物に使えるケースは稀であり、価格が激しく上下動するため価値の保蔵手段としての機能も不十分で、今のところは、主に投機の手段として使われています。また、セキュリティー対策が追いついていない仮想通貨交換所がアタックを受けて顧客から預かっている仮想通貨を流出させるといった事件が起きています。そのため、仮想通貨に対するマイナスイメージが出ているのは確かです。一方、仮想通貨を支えるテクノロジーとしてのブロックチェーン、あるいはDLTの実用性・可能性には大きな関心があります。

なぜ日銀がDLTに大きな関心を持っているかというと、日銀は、日銀ネット(正式名:日本銀行金融ネットワークシステム)という日本の金融システムを支える金融機関向けの決済インフラの運営者であり、日本の決済インフラの一番ボトムに位置して、日本のすべての決済を直接・間接に支えていますが、日銀ネットが時代遅れになると、それを利用する金融サービスの提供機関にも影響を与えてしまうためです。日々全速力で発展を続けるIT技術についていくために、スマートコントラクトを含む最新のDLT技術を学び、金融サービスへの応用の可能性を探っていくのは、金融インフラの提供主体として当然のことです。既に、日銀ネットをブロックチェーンで置き換えることができるのか、現在のDLT技術の限界はどこにあるのかを実験によって確かめるといったプロジェクトを行っています。日銀ネットに組み込まれている各種の機能をスマートコントラクトで実装してみるトライアルも実行済みで、ワークすることが確認できています。

高橋 ブロックチェーンには二つの側面があります。一つは日銀ネットのように決済インフラを進化させる技術という側面。もう一つは仮想通貨のような新しい通貨を生み出す技術という側面です。日銀としては二つの側面をどうご覧になっていますか?

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