仮想通貨の新規制、全容判明…顧客への弁済資金確保を義務付け

 仮想通貨交換業者の規制のあり方を検討している金融庁の研究会が近くまとめる最終報告書案の全容が8日、分かった。万が一の流出事案などに備え、交換業者に顧客への弁済原資となる仮想通貨の安全な場所への保管を求めるほか、元手資金の何倍もの取引が可能となる証拠金取引などを行う場合の登録を義務付ける。来年の通常国会で資金決済法と金融商品取引法(金商法)の改正を目指す。

 弁済資金の確保に関しては、顧客資産をネットワークにつながった状態の保管場所「ホットウォレット」で管理する場合、その資産を上回る仮想通貨を別途、ネットワークから切り離した「コールドウォレット」などで確保しておくことを求める。

 9月に70億円相当の仮想通貨を流出させた仮想通貨交換業者「テックビューロ」(大阪市)のように、顧客資産を自己資金だけで弁済できないといった事態を防ぐのが目的で、資金決済法を改正して対応する。

 このほか、同法改正では取引の記録などが公開されないような匿名性の高い仮想通貨の取り扱いを禁止。業者が取り扱う仮想通貨の種類を増やす場合も、これまでは事後報告で良かったが、新たな規制では事前届け出とする。仮想通貨という名称も、国際的な動向に合わせて「暗号資産」に変更する。

 一方、証拠金取引の登録義務付けは金商法の改正で対応する。外国為替証拠金取引(FX)と同様に、「証拠金倍率」には上限を設ける。具体的な値は今後の値動きなどをみた上で、新規制の導入前に決定する。

 投資要素の強い仮想通貨を使った資金調達「新規仮想通貨公開(ICO)」を行う場合も同法で登録を義務付ける。詐欺的な事案が多いことから、発行者の事業・財務状況を投資家に提供し、第三者がチェックできる仕組みを整備する。このほか、虚偽の情報を流して価格を意図的に操作する風説の流布などの不正行為も禁止する。

会員限定記事会員サービス詳細