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仮想通貨、立ちはだかるセキュリティーの壁

世界時価総額は8分の1に

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仮想通貨交換業を手がけていた「マウントゴックス」が約470億円の仮想通貨を流出させてから4年。認知度の向上とともに世界の仮想通貨の時価総額は2018年初に8300億ドルを超えた。だが、世界でハッキングが急増し、セキュリティー対策への不信感は解消されないままだ。バブル崩壊とあいまって時価総額はピーク時の8分の1に縮小した。

情報サイト、コインマーケットキャップによれば、12日午前9時半時点で世界の仮想通貨の時価総額は約1080億ドルとなっている。時価総額最大のビットコインの下落が引き金となって他の通貨も下落基調が目立つ。

投資家の仮想通貨離れの原因のひとつがハッキングリスクの顕在化だ。14年にマウントゴックスがハッキングを受けた際の被害金額は顧客と会社の資産をあわせて85万BTC(ビットコインの単位)。日本円にして約470億円にのぼった。

だが18年はこの数字を塗り替える事態になった。1月にコインチェック(東京・渋谷)が流出させた仮想通貨NEM(ネム)の金額は日本円で約580億円。9月にはZaif(ザイフ)を運営するテックビューロ(大阪市)がビットコインなど3つの仮想通貨で約70億円を盗まれた。

日本だけではない。2月にはイタリアでビットグレイルが約210億円相当の仮想通貨をハッキングされたほか、6月には韓国のコインレールが約44億円相当の仮想通貨を流出させた。少額のハッキング被害は世界で日常的に起きているとみられる。

ハッカーの標的になったのが仮想通貨の「ホットウォレット」管理だ。仮想通貨をネットに常時接続した状態のことで、顧客の入出金に素早く対応しやすい一方、セキュリティーの壁を突破されやすい。

仮想通貨の基幹技術であるブロックチェーン(分散台帳)技術がハッキングを受けたわけではなく、仮想通貨そのものの将来性が否定されたわけではない。ただ、ずさんな管理体制を放置している仮想通貨交換会社が狙われる例は後を絶たず「仮想通貨の金融機能としての価値を傷つけた」(京都大学経営管理大学院の幸田博人特別教授)との声は多い。

ICOレーティング・ドットコムが1日当たりの取引高が100万ドルを超える仮想通貨交換会社100カ所を対象に調べたところ、多くの会社が8桁以下のパスワードを許容していたり、2段階認証を導入していなかったりするなど少なくとも1つの欠陥を抱えていることがわかった。

仮想通貨業界における顧客保護の仕組みは証券業界と比べて脆弱で、絶対に不正流出しないという保証もない。複数の仮想通貨交換会社に分散保有するなどの自衛策が必要になる。(関口慶太)

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