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雑誌「日経サイエンス2018年5月号/仮想通貨の科学」(2018/3/24発売)

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日経サイエンス2018年5月号/特集2:仮想通貨の科学

特集2:仮想通貨の科学
仮想通貨というと、流出事件や投機的な話題が大きく報じられ、いかがわしい金儲けの道具にすぎないと思えるかもしれないが、それは本質的な話ではない。ビットコインに代表される仮想通貨の基盤となっているブロックチェーンや分散型台帳といった新技術は、社会にもっと大きなインパクトを及ぼすだろう。通貨の流れを的確に把握してバブルや金融危機を避け、中央銀行と政府による統制を“民主化”できる可能性がある。

この特集では、ビットコインを超えた仮想通貨や、ブロックチェーンの弱点を克服した新たな基盤を開発する試みなどを含め、最新の状況を整理して示す。貨幣が発明されてからずっと続いてきた通貨と信用の形が変わろうとしている。
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特集2:仮想通貨の科学

「ブロックチェーンが変える世界」A. リプトン/A. ペントランド

現在の金融システムは危険なまでに複雑化している。透明性を増せばリスクを減らせるだろうが,それには貨幣循環を詳細にモデル化する必要があり,現在の技術では難しい。だが,デジタル通貨などの新技術によって,すべての取引と送金をシミュレートすることが可能になり始めた。より効率的な金融ネットワークを構築して貨幣の管理を非集中化できるだろう。銀行に頼らずに個人どうしが直接にお金を交換できる。大変化が起こる可能性があるが,不確実性も多い。これらのデジタル網は,適切に構築し責任を持って運用して初めて,公平性と説明性を高められる。悪くすると,極端な中央管理につながる恐れが同じくらいある。

Alexander Lipton / Alex “Sandy” Pentland
リプトンはストロングホールド・ラブズ社の創設者・最高経営責任者でマサチューセッツ工科大学のコネクション・サイエンス・フェロー。以前はバンク・オブ・アメリカに管理職として勤務しつつ,英オックスフォード大学とインペリアル・カレッジ・ロンドンの客員教授を務めていた。2000年にクワント・オブ・ザ・イヤー賞を受賞。
ペントランドはマサチューセッツ工科大学の教授。コンピューター科学分野で論文引用数の非常に多い科学者で,全米アカデミーズ会員。Forbes誌は2011年,世界で最も有力なデータ科学者7人の1人に彼を選んだ。近著は『ソーシャル物理学』(邦訳は草思社)。

「ビットコインを理解する」J. パブルス

ビットコイン。暗号通貨。スマートコントラクト。いまや多くの人が急変するフィンテックに関連してこれらの言葉を耳にするが,理解している人はほとんどいない。一般市民の大半は仮想通貨が合法なのかどうか,自分がブロックチェーンを理解しているかどうかも定かでない。仮想通貨をどう考えたらよいのか,そしてブロックチェーンとは何なのか,要点を解説する。

John Pavlus
科学と技術,デザインに関する記事を執筆,映画も制作している。Bloomberg Businessweek誌,MIT Technology Review誌,The Best American Science and Nature Writingシリーズなどに執筆。

「ブロックチェーンの課題を乗り越える」 斉藤賢爾

ビットコインを実現するための技術として誕生した「ブロックチェーン」は,異なる主体の間での信頼できる情報共有を可能にする画期的な技術として注目されている。しかし,実時間性,秘匿性,スケーラビリティ,技術の進化のしやすさ,プラットフォームとアプリケーションの間でのインセンティブの整合性の問題など,課題も多い。そうした課題の解決に向けてさまざまな取り組みが行われている中,著者らがオープンソースで取り組んでいるBeyond Blockchain One(BBc-1) の設計の概要を紹介する。

斉藤賢爾(さいとう・けんじ)
慶応義塾大学SFC研究所上席所員・環境情報学部講師(非常勤)。一般社団法人ビヨンドブロックチェーン代表理事。現在の貨幣経済を素朴に疑問に感じていたことから2000年にデジタル通貨の研究の世界に飛び込み,その流れでブロックチェーンの課題を意識するようになって現在に至る。専門はインターネットと社会。

「信用の進化」 N. スモレンスキー

銀行と政府は世界経済の信用を整えることに様々な形で失敗してきた。特に過去数十年はそれが顕著で,一般人は中央集中型の権力に懸念を強めて,それに代わるものを探し求めている。ビットコイン(とブロックチェーン技術一般)は信用の調整を,人間の手からコンピューターへ移すことを可能にする。搾取を事後に罰するのではなく,そもそも搾取が起こらないようにシステムを設計できる。ブロックチェーンは人間の解放に役立つと同時に,前例のない監視と統制にもつながる。最終的にどう使われるかは,関連ソフトウエアがデジタル個人情報をどのように扱うかにかかっている。

Natalie Smolenski
身元証明と技術,政府の関わりについて執筆・講演している文化人類学者。オープン標準のブロックサーツを用いてブロックチェーン上で公文書の発行・公証を行うアプリケーションを開発しているラーニング・マシン社の事業開発を率いている。