三井住友海上・日本損保鑑定人協、ブロックチェーン等を活用した損害鑑定業務の実証実験開始
MS&ADインシュアランス グループの三井住友海上火災保険株式会社(社長:原 典之、以下「三井住友海上」)と一般社団法人日本損害保険鑑定人協会(※1)(会長:内山 真、以下「鑑定人協会」)は、株式会社電縁(社長:加藤俊男、以下「電縁」)および株式会社Orb(代表取締役:仲津正朗、以下「Orb」)と共同で、ブロックチェーンや分散台帳技術を活用した損害鑑定業務の実証実験を6月から開始します。
火災保険等の保険金支払時の損害調査においては、従来、損害保険会社と損害保険鑑定人(※2)(以下「鑑定人」)との間で多くの情報のやり取りが発生するものの、電子化に十分対応しきれておらず、郵送・FAX等の紙による伝達が中心でした。このため、書類送付に一定の時間がかかるほか、万全なセキュリティ対策を講じているものの情報漏えいや紛失のリスクが潜在していました。
こうした中、ブロックチェーンや分散台帳技術を活用した損害鑑定業務における情報共有の電子化に向けた実証実験を通じて、より高度なセキュリテイを確保した革新的な業務プロセスを実現し、迅速な保険金支払いに努めていきます。
1.実証実験の概要
(1)実験内容
本実証実験では、損害保険会社と鑑定会社間で鑑定人の手配や鑑定の進捗状況等における情報共有をブロックチェーン上で行い、情報セキュリティの確保や業務効率化等を含めた業務への実用可能性や、コスト削減効果を検証します。
電縁、Orbのベンダー2社による異なるプラットフォームで構築したシステムから同一の実験を行うことで、有効なシステム開発につなげます。また、より多くの鑑定会社が参加できる効果的かつ機能的なシステムとするため、三井住友海上と鑑定人協会共同で実験を開始します。
(2)実施時期
2017年6月から約2ヶ月間(予定)
(3)期待される効果
①保険金支払期間の短縮とコスト削減
情報のやり取りに電子データを活用するため、郵便・FAX等の送付に費やす時間や保険金支払期間の短縮を期待できるほか、書類送付にかかるコストも削減できます。
②高度なセキュリティの確保
保険金支払担当者と鑑定会社は高度なセキュリティを確保しつつ事故情報の共有が可能となります。
③安価なシステムの構築
ブロックチェーン等を活用することで、従来の中央認証やデータ管理等の強固なセキュリティ構築が不要となり、安価なシステム開発が可能となります。
2.背景
火災保険等の保険金支払時の損害調査では、従来、損害保険会社や鑑定会社各々が固有のシステムを利用して鑑定状況の進捗を管理しているため、情報のやり取りは郵送・FAX等が中心で、情報共有に一定の時間を費やしていました。また、事故に関するセンシティブ情報を扱うため、情報漏洩や紛失のリスクを抱えるなど、情報共有の効率化やセキュリティの観点から、業務プロセスの改善を求めるニーズがありました。
本実証実験では、高度なセキュリティを確保した状態でネットワーク参加者間の情報共有を可能とし、損害鑑定業務の効率化および迅速化が見込まれます。
3.今後の展開
実験結果を踏まえ、鑑定人協会所属の鑑定会社も利用できる革新的なシステムの開発を検討していきます。さらに、お客さまや事故の関係者等も直接ブロックチェーン等に参加可能なシステムの構築も視野に入れるなど、お客さまの利便性向上と保険金支払いの迅速化に努めていきます。
(ご参考)
(※1)一般社団法人日本損害保険鑑定人協会
1975年10月に発足し、2010年に一般社団法人に移行した団体です。損害保険鑑定業務を専業とする事業者から構成されており、会員数は56事業者にものぼります。
URL:https://www.kanteinin.or.jp/
(※2)損害保険鑑定人
損害保険会社から委託を受けて損害保険に関わる建物や動産等の損害額算定、保険価額の評価および事故状況・事故原因の調査等に関する業務を行います。火事や地震等による建物等の被害や、誤って他人の財物を壊したなどの賠償事故の被害額を中立な立場で公正に算出します。