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量子コンピューターは仮想通貨を破壊するか

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 量子コンピューターとは、一般に量子世界の状態の重ね合わせを情報の並行処理に生かす次世代の高速計算機だとされている。ゲート方式やアニーリング方式など様々な方式があるが、これらに共通しているのは理論上従来のコンピューターを超える計算能力を有しているという点だ。実用化はまだ難しいとの意見もある中、2011年にはカナダのDウエーブ・システムズ社が世界初の量子コンピューターを発売、昨年11月にはNTTがインターネットで公開利用を開始した。

こうした量子コンピューター技術の登場により、仮想通貨が無効になるかもしれないという論説が存在する。量子コンピューターの計算能力により、仮想通貨の根幹であるブロックチェーンの暗号技術が突破される可能性があるというのだ。

現在、ビットコインなどの仮想通貨の基盤技術となっているブロックチェーンでは「公開鍵暗号」と呼ばれる暗号システムが採用されている。これは電子署名などにも広く用いられている暗号方式で、「秘密鍵」と「公開鍵」という対になる2つの鍵を用いる。一方の鍵で作成した暗号文は、もう一方の鍵で複合が可能となる。公開鍵から秘密鍵を算出することは原理的には可能だが、膨大な計算処理が必要となるため、従来のコンピューターでは難しいとされてきた。

しかし、一説では従来のコンピューターの「1億倍」の計算能力を有するとされている量子コンピューターを用いることで、容易に公開鍵から秘密鍵を求められるようになるというのだ。このように、量子コンピューターによって公開鍵暗号が無効になってしまえば、それに依存するブロックチェーン技術や仮想通貨も無効になってしまうというのが、論説の要点である。

だが、こうした悲観的な見方がある一方で、ブロックチェーンや仮想通貨が全て無効になるわけではないとの見方もある。

確かに、既存の公開鍵暗号の方法を利用したインターネット上の暗号は破壊されるかもしれない。ただし、新たな暗号やブロックチェーンシステムの開発もまた同時並行で進んでいるのも事実である。例として、IoTに最適化された決済システムであるIOTAは、秘密鍵を使い捨てる設計となっているほか、従来のコンピューターで使用されている2進法ではなく3進法を使用しているため、量子コンピューター耐性があるとされている。

このように量子コンピューター技術を前提とした暗号を開発するのは、量子コンピューターそのものを開発するよりはるかに容易であると予測される。そのため、量子コンピューター耐性を持つ暗号は量子コンピューターの完成と共に生まれることになるだろう。

既存の公開鍵暗号方式は無効になるものの、それに取って代わる暗号方式を採用することで、仮想通貨そのものは継続して存在していくことが予測される。

《DM》


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