大石哲之:ビットコインのマイニングコスト、市場価格に追いつく
以下は、フィスコ客員アナリストの大石哲之(「ビットコイン研究所)」代表、ツイッター@bigstonebtc)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
ビットコインの価格は低迷しているが、ネットワークのハッシュレート(マイニング速度、具体的には1秒あたりの計算回数を指す)は依然として上がっている。ばらつきはあるものの、今年1月にはおよそ16エクサハッシュ毎秒(1秒間に1600京の計算回数)だったところ、7月初頭には40エクサハッシュ毎秒(1秒間に4000京の計算回数)と2.5倍以上になっている。
ネットワークのハッシュレートが大きくなるということは、それだけのセキュリティが確保されていると捉えることができ、コインとしての価値が高まる要因であると考えられる。当然ながらネットワークのハッシュレートが高くなると、マイニングにかかるコストも上昇する。
マイニングのコストは諸説あるが、いくつかのソースによれば、現在の世界的な単純平均のマイニングコストは7000ドルとされる。当然これは単純計算であるため、中国やアイルランドなどマイニングが集中している地域のコストはそれより低いと言えるが、それでも現在のビットコインの市場価格とほぼ一致するところまで上昇していると推測される。
理論的には、ビットコインの限界マイニングコストと市場価格は長期的には一致するといわれている。
昨年を振り返ると、価格が高騰し、マイニングコストが安かったため、ビットコインマイニングは儲かる投資となり、大量の新規の設備投資を呼び込んだ。それが価格低迷と、設備投資増により、マイニングが儲からない水準、つまり均衡する水準まで来たということになる。
当然ながら、こうなると設備投資も抑えられることになり、ハッシュレートも緩やかな伸びにとどまっていくと予想されるが、重要なのはマイニングコストがようやく市場価格に追いついたという点である。
ビットコインの価格は、その意味では現在ボトムということが言えるだろう。ただし一時的なショックがあると、マイニングコストを一時的に下回ることもあるかもしれない。
この均衡がいつまで続くかは明確にはわからないが、これによりしばらくの間は、限界マイニングコスト付近でのボックス相場が続くと予想される。
そのボックス相場は将来の次の動きのために重要だ。マイニング業者の設備がこなれて、次の大規模な拡張のための場所や機材などの確保の見通しが立ち、マイニング機材の供給の見通しや、性能のアップなどが見込まれる段階になって、次の価格の上昇の準備が整っていくと言える。
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※2018年7月17日に執筆
執筆者名:大石哲之
ブログ名:ビットコイン研究所