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MITメディアラボの伊藤穣一氏、ICOについて注意喚起

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11月4日~5日に米国のスタンフォード大学で開催されたカンファレンス「Scaling Bitcoin 2017」の2日目、MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボ所長の伊藤穣一氏が登壇し、ビットコインのこれからの可能性について語った。

伊藤氏は、2011年にMITメディアラボ所長となり、2016年7月1日からはMIT大学教授も兼務。2015年にはMITメディアラボのビットコイン構想(Digital Currency Initiative : DCI)の所長の職にも就いており、ビットコインの研究開発にかかわる専門家を集結させ、ビットコイン技術を中立的で学究的な場へ昇華させるプロジェクトを主導している。

伊藤氏はカンファレンスの中で、加熱するICO(仮想通貨を利用した資金調達の一種)についても言及し、ICOはビットコインをはじめとする仮想通貨誕生の概念から乖離しているのではないかと話し、仮想通貨は管理者を持たない自由な通貨であり、既得権益を持つ存在(金融機関や国)から人々を自由にするためのものだったはずであるのに、ICOの内容に理解が足りないままの人々からお金を吸い上げてしまうシステムになりつつあるのではないかと指摘した。

「ICOを発行した人は誰でも、(ICOを行っているプロジェクトについて)再考する必要があります。あなたは社会をより良くしていますか? それともあなたはお金を不公平にしていますか? 」

続けて伊藤氏は「仮に悪いことができない設計のICOであったとしても、本来投資してもらうべきでない人々の興味も引いてしまう」と話し、その危険性に触れて注意喚起を行った。ICOの目的は何か、何を実現しようとするためのものなのかという考えに立ち返り、よりフェアな仕組みを作ることが必要なのではないかと提言している。

しかし伊藤氏は、仮想通貨自体の可能性については希望を持っていると話す。国発行の通貨と金融機関によって定義された経済から起こる社会的・経済的問題の発生を防ぐ技術としての仮想通貨を高く評価しており、今後悪質な仮想通貨は排除され、残された開発者がより良いコラボレーションと構築を行っていくという未来を示唆した。

伊藤氏はこれまでにも、ビットコインは最初から利益重視に走りすぎていると指摘、利益を追求する前にまずは技術の標準化に集中すべきであると発言している。今回も、インターネットの開発期、収益を動機としないコミュニティが開発企業として最終的に成功したビジネスモデルとなっている例もあるとし、重要なのは、ビットコインの基盤技術であるブロックチェーンを守り、発行主体のない唯一の通貨として安定した価値を世の中へ提供していくことであると強調している。

《SI》


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