BTCが急落中、5月末の安値20万円台を意識へ
足元のビットコイン/円相場は23万円台まで急落しています。フィスコ<3807>傘下のフィスコ仮想通貨取引所でのBTC/JPYは7月15日12時30分時点で、23万2000円~23万4000円台での取引が続いている状態です。今回も、ビットコインアナリストである田代昌之氏より、
- 【ファンダメンタルズ】スケーラビリティ問題を巡る技術提案が拮抗中
- 【テクニカル】三角もち合い下放れ、5月末安値205,555円を意識へ
- 【ビットコイン入門】もしビットコインが複数に分岐するとどうなるのか?
という観点で解説させていただきます。今後のビットコイン投資の参考としていただければ幸いです。
(1)【ファンダメンタルズ】スケーラビリティ問題を巡る技術提案が拮抗中
これまでの【ビットコインニュース】でお伝えしてきた通り、ビットコインの取引処理能力改善を主な目的とした仕様変更にむけて、複数の提案が現在対抗しています。それぞれのスケジュールや仕様の内容が明らかになり始めていますが、まだどの提案がマジョリティとなるのか、またビットコインが8月1日前後に複数に分岐することになるのかは判明していません。今後、いくつかのイベントを経て、大勢が見えてくるかと思います。
動向によっては、特定のタイミングでビットコイン/円相場の乱高下や、お手持ちのビットコインの取引・送受信がうまく完了しなくなるなどのリスクが考えられます。対処法については、これまでの内容と重複しますが(3)【ビットコイン入門】で簡単にご説明しますのでご確認ください。
(2)【テクニカル】三角もち合い下放れ、5月末安値205,555円を意識へ
ビットコイン/円は、三角もち合いを下放れる格好となっています。出来高を伴って下落していることから、下へのバイアスは強いと思われます。5月末の乱高下以降、6月中旬辺りから膠着感が強まっていた分、下げトレンドは強いと見ます。
それでは、今回の急落相場ではどの水準が下値メドとして意識されるでしょうか?私は6月安値である250,400円(15日、フィスコ仮想通貨取引所)をあっさり割り込んだことから、目先のターゲットは5月27日につけた205,555円となるでしょう。
一方、5月末以降は、急落後に急反発を見せる場面が目立っていましたので、短期的なリバウンド狙いの動きも活発化しそうです。スケーラビリティ問題で下へのバイアスが強まっているなか、いったんは20万円レベルで押し目買いが入る展開を想定します。なお、5月末の安値205,555円を下回る展開となった際、想定とは異なる一段安の相場展開に突入したことが予想されますのでご注意ください。
(3)【ビットコイン入門】もしビットコインが複数に分岐するとどうなるのか?
もしもビットコインが複数に分岐してしまうとどうなるのか?分岐する前に所有していたBTC残高が、どのタイプの残高にも反映されます。例えば分岐前に1BTC持っていた人の場合、ビットコインが「A」と「B」2種類に分かれた後では理屈上はAタイプを1BTC、Bタイプを1BTCそれぞれ残高として持つこととなります。
ただし、今回のビットコインのケースでは8月1日以降にAタイプとBタイプが競合し合って、どちらかのコインがまったく無価値となってしまう場合や、もしくはどちらも大幅に価値が下がる可能性も考えられます。2つだけでなくさらに複数に分岐してしまう可能性もあります。また、ご自身がビットコインを預けている取引所や取引相手がAタイプとBタイプどちらのビットコインも取り扱うかどうかなどは、まだわかりません。
このため、8月1日前後もビットコインのままで所有しておく場合には、取引や送金は避けてご自身のウォレットで保管しておき、動向が明らかになるまで様子を見ることが重要です。どれかがマジョリティとなるのか、またどれも生存した場合はそれぞれの価格等はどう推移しているかなどが把握できる状態まで待ってから、再度使用を開始することが推奨されます。
もちろん、8月1日前に分岐しないことが明らかとなって事態が収束する可能性もありますが、今のところはまだ分岐の可能性はまったくゼロとはいえない状態です。今のうちからウォレットの使い方などを確認しておき、いざという時に対応できるようにしておきましょう。
7月下旬から8月1日にかけてもこのような関連ニュースの緊張度が高い場合は、ご自分のビットコインを推奨されるウォレット(Trezorやbreadwallet、Mycelium、Ledgerなど、分岐した場合にもどちらのタイプにも対応すると公表しているウォレット)できちんと保管しておくことが推奨されます。
なお、ビットコイン投資は利益が出るときもあれば、損失が発生することもあります。投資は自己責任でお願いします。
(フィスコ仮想通貨取引所: ビットコインアナリスト 田代昌之)