ビットコイン急反発、8月1日前後のリスクは低減か
8月1日前後にビットコインが複数に分岐してしまう可能性が足元の話題となっていたが、ここ数日で大幅な進展がみられた。
これまで危惧されてきた事態とは、ビットコインの仕様変更をめぐってSegwit2Xと呼ばれるチームとUASFと呼ばれるチームの対立である。どちらかが圧倒的な支持率を得られなければビットコインのネットワークが8月1日前後に混乱してしまい、最悪のケースでは手持ちのビットコインを喪失するリスクが発生するというものだった。
しかし、7月21日時点で、Segwit2Xチームが90%近くの支持を得ていることから、こうした事態は回避できるとの見方が広がった。これを受けて、先行き不透明感が後退したビットコイン価格は急反発。フィスコ<3807>傘下のフィスコ仮想通貨取引所におけるビットコイン/円は、6月24日以来となる30万円台を回復。一時322,155円の高値をつけた。
ただ、引き続きリスクは多少存在する。Segwit2Xの提案は、マイナー(採掘者)と呼ばれるビットコイン・ネットワークを維持するための計算作業を負担するプレイヤー達がこの技術仕様変更案を支持する(採掘作業を行う際に利用する)ことによって適用されることとなるが、マイナーの一部には、Segwit2Xの提案を希望される形で行わないとしているプレイヤーが存在しているためだ。ネットワークが混乱する可能性はまだ残っているといえよう。
また、冒頭のような資産を失うリスクのある混乱を招く分岐とは異なるとみられているが、「8月1日にビットコインから袂を分かち新しいコインとして独立する」という声明を出した一派も出てきた。この一派は、「ビットコイン・キャッシュ(Bitcoin Cash)」という名前で、ビットコインとは別の仮想通貨となるとの意思表示を行っている。
足元、「ビットコイン・キャッシュ」は、日本時間8月1日の21時20分にビットコインから分岐するとされている。このビットコイン・キャッシュの分岐は、特段それ以前に所有していたビットコインの紛失リスクなどを持つものではないとされている。しかしながら、市場に多少の混乱をもたらすことは予想されるため、ビットコインの動向には注意しておく必要がある。
なお、ビットコイン投資は利益が出るときもあれば、損失が発生することもあります。投資は自己責任でお願いします。
(フィスコ仮想通貨取引所: ビットコインアナリスト 田代昌之)