8月1日にビットコイン・キャッシュが誕生?
- 【ファンダメンタルズ】Segwit2xが2017年11月頃に実行か
- 【テクニカル】8月1日のイベントまでは30万円水準でのもみ合いか
- 【ビットコイン入門】ビットコイン・キャッシュ
(1)【ファンダメンタルズ】Segwit2xが2017年11月頃に実行か
これまで8月1日前後にビットコインが分岐するかもしれないという問題についてご説明してきましたが、一旦この話題は収束したといえます。
これまでビットコインの仕様改善案としてSegwit2x、UASF、UAHFなどの複数の改善案が対立していたのですが、Segwit2xのBIP(Bitcoin Improvement Proposal、ビットコイン改善案)91という提案がコミュニティーの9割以上の賛同を得て7月23日に適用されました。これによって、8月1日前後にビットコインのネットワークが不安定になり予期せぬ分岐が起こってしまう、このため送金が完了されないなどの可能性は大きく減退しました。
今後注目されるのは、Segwit2xが2017年11月頃に実行するとしているビットコインのブロックサイズ(ビットコインの取引処理能力の単位のこと)の拡張案の動向です。Segwit2xの提案は11月頃を目途にブロックサイズを従来の1MBから2MBにするとしていますが、これがまたコミュニティーの議論を呼び、価格にも影響する可能性があるため注目です。
なお、当初お伝えしていた予期せぬ分岐とは別に、8月1日21時20分(日本時間)頃にビットコインから切り離れて「Bitcoin Cash(ビットコイン・キャッシュ)」という名前で独立しようとしているコインがあります。もしも本当に独立した場合、新たに「Bitcoin Cash(ビットコイン・キャッシュ)」という名の仮想通貨が生まれることになりますが、こちらは現在お持ちのビットコイン(Bitcoin、BTC)の取引履歴が混乱してしまうといったリスクは存在しないと見られています。
(2)【テクニカル】8月1日のイベントまでは30万円水準でのもみ合いか
ビットコイン/円は、7月16日に206,850円(フィスコ仮想通貨取引所)まで急落しましたが、5月27日安値205,555円手前で下げ止まった後は反発基調が強まっています。足元30万円水準まで値を戻しており、価格面からは警戒ムードは感じられない状況といえます。
三角もち合いを一気に下放れましたが、結果的には「往って来い」となっています。足元上値は重くなっていますが、下値を切り上げていることからしっかりとした相場付きといえます。今後、8月1日のイベント(ビットコイン・キャッシュ誕生)に向けて上下に振れる可能性はまだ残っていますが、過度な警戒感後退によって7月中旬のような急落相場は回避できると考えます。
8月1日以降の価格形成に関しては、予測するのが非常に難しい状況にあります。【ビットコイン入門】にある通り昨年のイーサリアムの動向を参照にしてみてはいかがでしょうか。
(3)【ビットコイン入門】ビットコイン・キャッシュ
計画通りに進めば、8月1日にビットコインから新たにビットコイン・キャッシュという名前で仕様の異なる仮想通貨が切り離れて独立しようとしています。
実は、昨年イーサリアムという仮想通貨でも類似の事例がありました。イーサリアム(Ethereum、ETC)という2015年に公開された仮想通貨から、イーサリアム・クラシック(Ethereum Classic、ETH)という仮想通貨が2016年7月に分離、独立したのです。
独立直後、イーサリアム・クラシックを取り扱う取引所やマイニング(採掘)作業を行うマイナーが一定数存在したこともあり、イーサリアム・クラシックは一定の流動性を保って存続していきました。2016年7月の分裂直後には1ETH=13米ドル前後に対して1ETC-2.2米ドル前後で、ETHの方の価格はふたつに分かれる前と大きな違いは出ませんでした。その後2016年中は1ETH=10米ドル前後、1ETC=1米ドル前後で推移し、2017年に仮想通貨市場の時価総額が高騰した後7月24日現時点では1ETH=225米ドル前後、1ETC=15.7米ドル前後で取引されています(Coin Market Capより)。
現在、ビットコイン・キャッシュはvia BTCという中国を拠点とする取引所で取り扱う準備を進めているようだ。分離の時点でビットコインを所有している場合は、それと同額のビットコイン・キャッシュも自動的に所有することとなるが、そのためにはビットコイン・キャッシュにも対応するとしているウォレットに保管するか、もしくはビットコイン・キャッシュを取り扱う取引所に預託しておく必要があります。もちろん、その時点で入手していなくても分離の後にビットコイン・キャッシュを取り扱っている取引所で、法定通貨またはBTC建てなどで取引して入手することも可能と思われます。
なお、ビットコイン投資は利益が出るときもあれば、損失が発生することもあります。投資は自己責任でお願いします。
(フィスコ仮想通貨取引所: ビットコインアナリスト 田代昌之)
《MT》