大企業や国際機関とのコラボレーションが目立つイーサリアム [アルトコイン評価ニュース]
主要大企業や国際機関がブロックチェーン技術「イーサリアム(Ethereum)」を積極的に導入している。イーサリアムは2013年に若干19歳だったロシア出身のヴィタリック・ブテリン氏が考案し、14年に開発した。イーサリアムは取引で行われる契約を自動的に実行・保存していく機能「スマートコントラクト」が特徴的なブロックチェーン技術を用いている。イーサリアム(Ethereum)はプロジェクト名であり、使用される暗号通貨はイーサ(Ether)と呼ばれる。
イーサリアムの強みは前述のスマートコントラクトであり、取引を行うと同時に契約内容まで管理することができる。また、過去に交わされた契約内容をネットワーク上で半永久的に保存することが可能だ。このため、取引で行われる内容を精査・監査できることから、偽造および改ざんは難しいという。
コインマーケットキャップによると、取引量はビットコインに次ぐ第2位となっており、17年8月13日時点で1イーサ=約298.06米ドルとなった。イーサが終値ベースで最高値をつけた6月12日(401.49米ドル)から約26%下落しているものの、3月1日時点の17.35米ドルと比較すると約17倍の水準だ。8月13日時点の時価総額は約291億6110万米ドルとなっている。
イーサの急騰は、他の仮想通貨の価格上昇や国際機関や大企業がイーサリアムを積極的に導入していることが背景にある。マイクロソフト
国際機関もイーサリアムを使用したプロジェクトを始めている。国際連合世界食糧計画(WFP)は2017年、イーサリアムのブロックチェーン技術を使用し、パキスタンの難民100人を対象に食糧購入資金として暗号化通貨に基づくバウチャーを送付するプロジェクトを試験的に行い、成功。すでに、シリアの難民1万人に対しても実行済みで、同様のプロジェクトを2018年末までにヨルダンの難民10万人を対象に行う予定だという。
イーサリアムの認知度が広がる一方で、市場では懸念が浮上している。世界中で仮想通貨を使用した資金調達、新規仮想通貨公開(ICO= Initial Coin Offerings)取引が次々に開始され、それに伴い取引量が増加。これにより、イーサリアムが増大するデータ量に処理能力が対応しきれない「スケーラビリティ」の問題に直面するのではないかとの声が目立ち始めた。イーサリアムがこの問題をどのように解決していくのか、今後の動向に注目だ。
《MS》