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アメリカン・エキスプレスがブロックチェーン技術の特許申請

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ブロックチェーン

 10月19日、アメリカン・エキスプレスが行った特許申請の内容が米国特許商標庁によって公開された。それによると、顧客の報酬(商品、サービス、情報、経験、娯楽、データ、割引、ポイント、仮想通貨、コンテンツ、アクセス、レンタル、リース、寄付クレジット、デビット、クーポンなど)のシステムにブロックチェーンを利用し、個々の身元確認プロセスの確実性と取引情報等のセキュリティをより強固なものにすることを企図したもののようだ。

アメリカン・エキスプレスのブロックチェーンへの関心は高く、2015年にはアメリカン・エキスプレスのVC(ベンチャー・キャピタル)がブロックチェーンを使った送金アプリ「Abra」に1200万ドルを投資している。

2017年1月には、ブロックチェーン技術を法人利用向けに開発する業界団体「Hyperledger(ハイパーレッジャー)プロジェクト」にも加盟している。ハイパーレッジャーはリナックス財団によって2015年に設立され、IBMやエアバス・グループ、JPモルガン・チェースなど100社余りが参加しており、各組織のアプリ、プラットフォーム、ハードウェアシステムが堅牢なものになるよう同一基準のブロックチェーン技術を開発することを目指している団体である。

ハイパーレッジャー加盟の際、アメリカン・エキスプレスのケネス・シュノールトCEOは、「仮想通貨産業の発展を見てきたが、ブロックチェーン技術と分散型台帳は金融の未来を形作る上で重要な役割を果たす可能性があると思う」と述べており、またCIOのマーク・ゴードンは「ブロックチェーンを最大限活用して、顧客やパートナーにとって革新的な製品を提供することを目指します」と語った。それから1年弱にして、今回のブロックチェーンを利用した顧客報酬システムの特許出願となった。

そもそもブロックチェーンとはビットコインの基盤技術として「分散型台帳を実現する技術」であり、参加者間での監視と合意により情報の正当性と一貫性を担保することによって、コストの掛かる第三者機関を経由せずに改ざんを防ぐことを可能とさせる経済的な方法であり、また情報を分散させることで極めて強固な安全性を持つ技術とされている。

インターネットが普及した現代では一元管理では安全性と信頼性の確保に限界があるという観点から、低コストでありながら高い透明性と信頼性を維持できる技術としてブロックチェーンの利用を検討する企業が増えている。金融業界のみならず医療カルテ作成や公的文書管理など、その余波は様々な方面へ広がりつつある。日本でも今年6月に、総務省がブロックチェーンを使い電子申請システムを刷新すると発表し、国や自治体の物品調達や公共事業入札などの申請手続きに適用できるよう実証実験を開始している。

ただし、技術の広がりとともに懸念材料もある。前述の特許の話題に戻るが、米国の法律事務所LLPと特許関連情報を取り扱うクエステル社の調査によれば、2016年6月までにブロックチェーン(分散型台帳)や仮想通貨に関連する特許申請は少なくとも200件を超えており、そのうち48件が特許取得済みとなっている。2017年現在、その数がますます増加していることは想像に難くない。これに対し「分散型台帳システムは、スマートフォンにおける特許戦争の再来に向かっている」との警告を発する専門家も出始めているようだ。

《SI》


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