ビットコイン分裂のリスク低まる、Segwit2xが分裂を中断
11月中旬に、ビットコインから新たに分岐(ハードフォーク)しようとしていたSegwit 2xという仮想通貨が計画を中断することが明らかとなった。このため、ビットコインの分裂に関するリスクは大幅に低下することとなった。
11月中旬に予定されていたSegwit 2xは、本体のビットコインのネットワーク維持や送受信の安全性において、場合によっては深刻な影響を与える可能性があった。今回、分裂の計画が中断されることで、ビットコインのリスク要因は大きく低下したといえる。
Segwit 2xとは、もともとは2017年5月に表明されていたビットコインの新たな技術仕様の案である。公式の声明では今回ハードフォークの計画が中断された理由について、ビットコインのコミュニティーを分断し、成長を阻むことを避けるためとしている。
声明には詳しく書かれていないさらなる理由は、Segwit 2x案が5月に公表されてから半年が経過し、ビットコインの環境が大きく変化したことにある。8月にはビットコインが10分間に処理できるデータ容量を大きくする(ブロックサイズの上限を上げる)ビットコインキャッシュという新たな仮想通貨が分岐し、また本体のビットコインにおいてはSegwitという技術の適用が決定した。Segwit 2xが5月に表明していた案はSegwitを適用し、その3か月後(11月中旬)にブロックサイズを現行の1MBから2MBへ引き上げるというものだったが、これはそれぞれビットコインキャッシュとビットコインという仮想通貨によって個別に実現されている。
Segwit 2xにはマイニング(採掘、ビットコインの送金データを処理してネットワークを維持し、報酬として新規発行されたビットコインをもらう作業)を行うマイナーから一定の支持が集まっていた。マイニング規模の大きさは、その仮想通貨の安定性と存在感の強さを表すものともいえる。逆にいえばマイニングの収益性の高いところにマイナーが集まる構造というのが自然な形ではあるが、今後、Segwit 2xを指示していたマイナーがビットコインのマイニングを続けるのか、または新たな仮想通貨であるビットコインキャッシュへと移行することになるのかが注目される。
《SI》