中国の中央銀行「ビットコイン取引所閉鎖は正しい選択だった」と発言
中国人民銀行の藩功勝副総裁は、先週末に行われた上海での金融イベントの席上で「当局が行ったビットコイン取引所閉鎖は正しい決定だった」と発言した。
藩副総裁は「中国がICO(Initial Coin Offering:仮想通貨の新規発行による資金調達)を取り締まらず、ビットコイン取引所の営業を停止させず、仮想通貨取引シェア80%のままだったとしたら、今頃どうなっていたか考えるだけでも恐ろしいことだ」と語り、ビットコインが金融市場にトラブルを引き起こしたことは確かなことであり、1600年代のチューリップ・バブルや20世紀末のドットコム・バブルのように爆発を待っている状態だったと述べた。
続けて「私たちができることはひとつ——岸辺に座ってビットコインの死体が流れてくる日を待つことだ」とも話した。
中国人民銀行は、今年9月にICO禁止とビットコイン取引所の閉鎖を要請していた。さらに、ICOに出資した投資家に払い戻しも求めている。
しかし、藩功勝副総裁の発言には疑問もある。実際には、中国のシェアは高くなかったのではないかという声があるのだ。中国が規制前までビットコインの取引量が他国に比べて非常に高かったことは、市場操作等がはびこっていただけではないかという推測である。実際、2016年12月に中国人民銀行によるレバレッジ取引禁止措置が行われた後、中国の仮想通貨取引量のシェアは大きく減少したと言われている。
とはいえ、中国国内のビットコイン需要は依然高いままであるようだ。現在中国の仮想通貨投資家はオフショア口座を通して香港から取引を行うか、P2P(取引所を介さない個人間のビットコイン取引)を行っていると見られている。P2P取引は、中国でビットコイン取引禁止などの処置があるのではと噂され始めた2017年年明けから取引量が伸び始め、規制開始後の9月以降大きく増加している。(Coin Danceより)
また、ビットコインに厳しい姿勢を見せる人民銀行も、2015年に発表された「第13次5カ年計画」では「ブロックチェーン技術」の文言を直接盛盛り込んだり、新たな研究開発施設の設立を行う等、その技術利用に対しては積極姿勢を見せている。
中国のビットコインをはじめとする仮想通貨へ姿勢は、取引への規制とブロックチェーンの技術開発の促進の両輪で今後も進んでいくと思われる。