ビットコインの課題と、それらを克服するアルトコインとは
ビットコインは、既存の金融システムや決済システムに大きな影響を与え得る新技術として注目されている。昨年ビットコインの注目度と価格が急上昇し、ビットコインの取引が急増する中で、以前より指摘されてきたいくつかの課題点が現実のものとして浮き彫りとなる形となった。
ビットコインは仮想通貨の元祖として誕生したが、その後数多くの仮想通貨が発表される中で、ビットコインの課題を克服しようとさまざまな取り組みがなされている。ここでは、その一部をかいつまんでご紹介する。
ビットコインの課題とされるものを大まかにいくつか上げてみると次のようになる。
・取引完了に10分程かかる
特に海外送金などのことを考えるとこの取引に要する時間は従来の金融システムなどよりは早いといえるが、現状ではさらに早く送金を完了させることが可能な仮想通貨も多数出現している。
・秒間の取引処理数が少ない(ブロックサイズに1MBという上限があることに起因)
例えばVisaは秒間4,000~6,000件の取引を処理できるとされているが、ビットコインは秒間7件(Segwitが導入されると14件)の取引数しか処理できないとされる。
・取引手数料がかかる
ビットコインの取引手数料には一定量のビットコインが必要となる。昨年前半頃までは従来の金融システムよりは取引手数料が安価であることがビットコインの特長とされてきたが、ビットコイン価格の高騰に伴い、本来安価であったはずの取引手数料が上昇し始めている。
・間違えやすいビットコインのアドレス
ビットコインのアドレス(送受信の際に必要なもの、銀行で例えると口座番号に該当する)は人間には意味をなさない30字前後の文字列であるため、手入力だと間違いが起こりやすい。このため、コピー&ペーストか、QRで直接アドレスを読み込む以外の方法が取られる場合が多い。また、一度行った取引は二度とやり直しができない点がネックとなる。
・価値を担保する機関がない
これについては長所も多く存在するが、ビットコインには国などの中央管理体が存在せず、価値を担保する主体者がいない。有事の際に口座凍結や再発行などの対応を期待することができない。
こうした課題はビットコインではどのように克服されようとしているのか、またこれらの課題を克服しようとしているアルトコインの代表例を下に挙げていく。
・取引時間の短縮
ビットコインは、ライトニングネットワークという技術の導入によって取引時間を数秒のレベルにまで短縮しようとしている。また、取引時間がビットコインよりも短いアルトコインはすでに数多く存在する。一例としてはイーサリアム(約15秒)、ライトコイン(約2.5分)、DASH(約2.5分)、Bitshares(数秒)、MONERO(約2分)、Zcash(約1分半)などがある。
・秒間の取引処理数が少ない
ビットコインは、この課題についてもライトニングネットワークという技術施策で克服する予定である。この課題もやはりアルトコインでは改良されているものが多く、例えばビットコインキャッシュはブロックサイズを8MBにすることで対応しようとしている。また、前述のイーサリアムは一秒間に約15件、リップルでは一秒間に約1500件の取引が可能だとされる。
・取引手数料がかかる
取引手数料に関しても、ビットコインではライトニングネットワークという技術導入によって再びかなり安価な状態に使用としている。取引手数料を安価に使用とする動きはビットコイン以外のアルトコインでも積極的に認められる。また、IOTAというアルトコインでは、取引手数料無料で取引を行うことができる。
・ビットコインのアドレスが人間には間違えやすい
ビットコインでは、BIP(ビットコイン改良提案)などでアドレスのフォーマットをよりわかりやすいものにするための提案がなされている。また、特定のウォレット内などのサービスにおいて、管理のために送信先などに名前をつけるなどの操作は行うことができる。
・価値の担保
Bitsharesという分散型プラットフォーム上では、ドルに価値を担保されたBitUSD、ゴールドに価値を担保されたBitGoldなどの商品がある。
上に挙げた他にも、ビットコインのシステムを成り立たせる上でのアルゴリズムや、マイニング(新規発行に必要な計算作業)、セキュリティ、匿名性などの仕組みを進化させる目的でさまざまな技術開発やアルトコインの作成などが現在進行形でなされている。今後の仮想通貨関連の進化が注目される。
《SI》