仮想通貨の禁止騒動は韓国を分断する?
韓国では、テクノロジーに精通した若い世代を中心に仮想通貨が普及している。一方で、当局は取引の完全禁止を提案するまでに至った。仮想通貨をよりよい生活のための手段として見る世代と、投機的と見なす当局とで分断されているのである。
朴相基法務長官は11日、当局は仮想通貨取引を禁止する法律を準備していると述べ、これが国際的な仮想通貨価格の下落と仮想通貨市場の混乱を招いた。12日には、大統領府である青瓦台のホームページ宛に12万以上の反対署名が集まり、一時的にサイトがダウンする事態となった。こうした騒動を受け大統領からは「禁止案は確定事項ではない」だとのコメントがなされた。
こうした韓国政府の「手早く稼ぐ」システムへの懸念は、過去の影響によるものが大きいとの見方もあるようだ。米投資ファンドのローンスターは2003年に韓国外換銀行(KEB)を1兆3000億ウォンで買収、経営立て直しによる黒字化達成後、2012年に3兆9000億ウォンで売却した。これに対して韓国当局は株価操作などの疑いで同社を起訴した。この一件が韓国の資金が外国企業に流入することへの懸念を高めたとするほか、海外起源の市場に政府が注意するようになった要因の一つだとされている。
規制強化の動きを強めている韓国政府だが、いくつか考慮すべき点もあるようだ。一部ウェブサイトのデータによると、韓国のビットコイン取引量は全体の約15%にも及び、政府がどのような対策をとるかが大きな影響を及ぼす可能性が高い。規制により価格が急落し、資金を失う人々が増えれば、政府の責任を追及する人々が出るとする意見もある。
韓国での規制強化の動きは仮想通貨価格に大きな影響を及ぼしている。一方で、情報が二転三転している側面もあり、慎重に情報を見極めていく必要がありそうだ。
《DM》