大石哲之:ビットコイン最新の見通し(1月16日)
以下は、フィスコ客員アナリストの大石哲之(「ビットコイン研究所)」代表、ツイッター@bigstonebtc)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。
中国につづき、仮想通貨取引所の全面禁止となるかといわれた韓国の動向だが、結局取引所への本人確認の実施、未成年の取引の禁止など、常識的な内容で収まったようだ。これらの本人確認は、どの国の取引所でもすでに行われていることであり、いままで行ってこなかったということが問題な上、一時取引の全面禁止を掲げてその後すぐに撤回するなど、非常にいきあたりばったりな規制当局も残念である。
韓国は取引高も多く仮想通貨市場に影響力を持つレベルになっており、今回の規制関連のニュースは実際にビットコイン価格に大きな影響を与えたことなどから、とりわけ残念に思える。
さて、先週は、これまで実態のなかったフォークコインがいくつか実際に動き始めた。先週はビットコイン・ダイヤモンドが実際に稼働して送金が可能になり、そのニュースをうけて、仮想通貨取引所Binanceで一時5倍超に値上がりするなど、投資家の思惑が交差している。その他、スーパービットコインも実際に送金ができるようになるなどの動向があった。
ただし、実際にこれらのコインを取り出すことは一般のユーザーの技術では難しく、現時点では実用というより、思惑を利用した取引所内での売買が主流となっている。
ビットコインに関しては、先週、Bitcoin Coreのクライアントのウォレットに、Segwitのアドレス生成や、署名、送金などの基本機能のプログラムがマージされた。正式版のリリースはもう少し後になろうが、これがリリースされると各サービスのSegwit対応が早まることになると思われる。
Segwitとは、ビットコインの機能向上のために昨年適用された技術だが、実際にSegwitへ対応することは技術的なハードルが高く、独自にこれを実装することができるのは技術力の高い一部の企業に限られる。Segwitの採用によって、ビットコインの取引手数料の低下といった効果が期待できる。また、現状ビットコインは10分で取引が完了せず長時間待つこととなる取引数の増加が問題となっているが、この未送信取引数の減少という効果も期待できる。
ビットコイン関連サービスの多くが、自社バックエンドの仕組みとしてBitcoin Coreを利用しているが、現時点ではSegwitのウォレットサービスがないため、独自の改造が必要な状態である。今後これがSegwit対応となれば、改造を要さずに自社の仕組みに組み込むことができるため、Segwitの普及が進むだろう。
ビットコインの取引処理能力向上のための改良策として、現在Lightning Networkという技術の開発が進められており、期待を集めている。このLightning Networkの実装にはSegwitの実装が前提条件として必要であることもあり、Segwitの対応が広がることはビットコインにとってプラスの材料となる。
※2018年1月16日12時に執筆
執筆者名:大石哲之
ブログ名:ビットコイン研究所