マレーシアの仮想通貨関連規制速報と、世界各国の規制動向まとめ
今週、マレーシアで仮想通貨取引所「ルノ」の取引用銀行口座がマレーシア税務当局により凍結されたことがわかった。「ルノ」は、2013年に創設されたロンドンに拠点を置く取引所であり、英国、ナイジェリア、南アフリカ、インドネシア、マレーシア他世界35か国の地域で取引所を開設している。
マレーシア内国歳入庁(IRB)は、「ルノ」に対しマレーシアにおける全ての顧客に関する身元確認、預金・引き出し履歴、取引に関する情報を提供するよう求めていることも判明した。
「ルノ」はマレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia)が公開した仮想通貨交換の要件に従うことを表明し、中央銀行の仮想通貨に対する監督制度や課税を支持する旨を表明し、IRBに協力し緊密に話し合っているとしている。
「ルノ」の言うマレーシア中央銀行公開の仮想通貨交換の要件というのは、「ルノ」が口座凍結を受けた際に口座開設銀行であるマレーシア中央銀行が発表した市民や企業のための仮想通貨規制のガイドラインである。「仮想通貨取引はその詳細を明らかにする必要がある」「一般市民は、仮想通貨がマレーシアで合法的ではないことを認識している」とし、アンチマネーロンダリングが強調されている。
中東やアジアのイスラム圏では、教義で賭博を禁止していることもあり、仮想通貨取引は投機的要素が大きいともともと歓迎はされていなかった。ここへきて、市場規模の拡大と比例するように拒否感もより大きくなり、厳しい規制へとつながっているのかもしれない。
それを表すように、エジプトのイスラム教の最高指導者シャウキー・アラム師が「投機性が高くイスラム教で禁じられている賭博に類似」としてビットコイン取引を禁じる宗教令を出したとエジプトの政府系紙アルアハラムが報じた。テロ資金の送金利用への懸念も背景にあるようだが、この動きに他のイスラム教指導者が追随すれば、イスラム圏での仮想通貨取引の全面禁止の可能性も否めない。
1月13日にはインドネシア中央銀行がインドネシア国内での仮想通貨の売買や取引を認めないとの声明を発表した。これは政府による正式な発表ではなく、正式な禁止措置が取られたわけではないが、仮想通貨関連の活動全てに対する警告と捉える向きが多い。インドネシアでは2017年10月に2つの取引所が自主的に閉鎖している。
さらにアルジェリアなどでも規制強化の方針を固めており、イスラム圏での仮想通貨規制強化が加速していく可能性は高いと思われる。
もうひとつ、先週の大きなニュースといえば、韓国での発表がある。世界有数の仮想通貨取引所を持つ韓国による仮想通貨取引所廃止措置の法案準備という厳しい報には、市場も大きく揺れ仮想通貨はほぼ軒並み暴落となった。
しかし、その7時間後には大統領府から「確定事項ではない」という発表がなされた。昨年10月末、仮想通貨へ国民の過熱ぶりが社会問題化した際、大統領府は規制対策を用意するよう関係省庁に指示し、法務部は取引所を強制閉鎖の方向性を昨年末に決めている。
そのため今後の規制措置は厳しいものになると予想されるが、投資家の反発や、ブロック・チェーン技術の発展を阻害しかねない事態は避けたいという政府の意向が働いているようで「十分な議論と調整」を図るとし、方策を模索しているようだ。
宗教・社会情勢・国民性等、各国の様々な事情を背景にした仮想通貨規制や対応の行方に、今後も注視していく必要がある。
《SI》