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大石哲之:暗号通貨に何を求めるか?

以下は、フィスコ客員アナリストの大石哲之(「ビットコイン研究所)」代表、ツイッター@bigstonebtc)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

個人的に、自分のツイッター上で暗号通貨に対して何を求めるかという点についてアンケートを取ったが、あらためて興味深い結果となった。回答の選択肢は以下の4つ。

  • 早くて安い支払いや決済の手段
  • 政府や何かの権力によらない価値の貯蔵手段
  • 公証や記録などお金以外のブロックチェーンの機能
  • 儲けの機会の大きい相場

結果をみると、予想どおりであったが回答者全体のうち43%の人が「儲けの機会」と答えた。

「儲けの機会」と回答した人は恐らく暗号通貨自体には全く興味がなく、要するに別に暗号通貨が対象でなくても、博打でも、サイコロゲームでも、チケットの転売でも、とにかく儲かればなんでもよいということだろう。このような層が回答者の半数近くを占めている。これらの回答者グループにとって相場は荒れて乱高下するほうがよく、そちらのほうが儲けの機会が大きいということになるだろう。また、これらの人々が相場で増やしたいのは「法定通貨」、つまり日本円でと思われる。

次は、政府や何かの権力によらない価値の貯蔵手段と答えたグループで、全体のうち27%存在する。

予想するに、これらの回答者グループは日本の財政事情を憂い、日本円が将来ハイパーインフレなどで無価値になる可能性なども考えているかもしれない。保有する財産のリスクヘッジとして、ゴールドや、土地、株式などと共に、暗号通貨資産を組み入れている。積極的に儲けるというよりは、「守り」の資産クラスだろう。とりわけ暗号通貨は、現状では政府に差し押さえされたり、調査されたりすることが難しく、独立性やプライバシーの面で非常に優れている資産だと思う。

同じ暗号通貨というひとつの対象に対して、この2つの価値観は全く相反するものである。

早くて安い送金や決済の手段と答えた人は、全体の18%。これらの人のニーズは暗号通貨だから、というわけでもなく単に無料で早く送金できれば、ペイパルでもラインペイでもアリペイでもなんでもよいのではと予想する。純粋に決済として早く、安ければよい。送る対象は相場が上下する暗号通貨より、日本円がそのように支払いできればむしろベターだろう。

つまり、たまたま暗号通貨の送金手数料が初期に安かったので彼らのニーズにマッチしたが、手数料が高くなるにつれて、他の支払い手段に移っていくだろう。そしてそちらのほうが未来は明るい。というのも既に中国のアリペイでは瞬時に無料で決済できるし、その点のフィンテック技術や銀行の革新によって、いずれ支払いの手数料はゼロになる未来が見えてきているからだ。

公証や記録などお金以外のブロックチェーンの機能と答えた人が全体の12%だ。よくいわれていることに、「ビットコインは欠陥商品だが、ブロックチェーン技術はすばらしい」というものがある。お金としてのブロックチェーンには悲観的だが、ブロックチェーンの応用や、プライベートへの適用などには機会があるという意味だ。銀行をはじめとする金融機関や、ブロックチェーンでの業務革新を考える政府機関などは、暗号通貨ではなく、ブロックチェーン技術だけに興味がある。

こうしてみると、同じ対象ながら、まったく別々の価値観の人がこの業界に入り乱れているということになる。まったく別というより、むしろ相反して、価値観がまったく逆な人が同じ対象を語っていると感じる。

暗号通貨界隈には、何を求めるかによって喧嘩や言い合いが絶えないが、このアンケート結果を見るとそれも仕方ないと納得させられる。

なお私個人は、「政府や何かの権力によらない価値の貯蔵手段」として暗号通貨を理解・評価している。

※2018年4月16日に執筆
執筆者名:大石哲之
ブログ名:ビットコイン研究所


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