[書籍] 「ドル・人民元・リブラ ~通貨でわかる世界経済~」中條 誠一(著)
一言で言えばこうだ。ドル=経済をカジノ化させた主犯。ユーロ=期待を裏切り存在感は限定的。人民元=昇竜に立ちはだかる国際化の壁。リブラ=可能性と危険性を孕む「夢の通貨」。円=黄昏を越え輝きを取り戻せるか。――物の取引のツールだったはずのお金(通貨)が逆に経済全体を動かすようになってしまった現在。主役としての通貨を理解することで、一見複雑怪奇な世界経済の構造が、すっきりわかるようになる。
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第1章 ドル――世界に君臨し続ける旨み
「物の取引」を凌駕する膨大な金融資産/「カジノ資本主義」の不安定性/「物の世界」では落ち目のアメリカ/基軸通貨の持つ「慣性」/ドルが世界に君臨する不幸/基軸通貨国が得る膨大な利益/とてつもない借金なのに利払いが少ない理由/「法外な特権」はいつまで続くか/愚の骨頂! トランプ大統領の通商政策/過剰消費体質を改善できるかが鍵
正道を行かずしてアメリカ経済の再生は無い
第2章 ユーロ――再び危機は起こるのか
通貨統合とはどういうことか/為替リスク回避など大きなメリット/統合のための3つの条件とは/日本経済が「円」で運営できている理由/引き金はギリシャの財政不安/危機の根本的原因は参加基準の甘さ/働き者の国とそうでない者の国/貿易・経常収支の赤字は再び財政破綻を招きやすい/加盟国の離脱なくユーロを維持するためには/財政の健全化と共通予算/ユーロの安定的な維持に向けて
第3章 人民元・円――アジアで覇権を握るのは
通貨の「三国志」時代が到来すれば/基軸通貨への名乗りを上げた人民元/一躍、世界第3位の国際通貨に/人民元はどこまで国際化したのか/「いびつな国際化」の限界を露呈/人民元の「真の国際化」に向けて/アジアの貿易構造と為替政策に注目/円はなぜアジアの基軸通貨になれなかったのか/自助努力が徒になった円/人民元台頭で追い込まれる日本
不条理な円高に翻弄され続けてきた日本経済/アベノミクスはアホノミクスなのか/機動的な財政出動は一点集中主義で
MMTのリスクは看過できない/世界で戦える産業の育成を
第4章 仮想通貨――ビットコインとリブラの未来
「億り人」に沸いたビットコイン狂騒曲/お金とは「買い物で支払いに使われるもの」/インターネット上で使える新しいお金/ビットコインの仕組み/銀行を通さず個々人が直接やり取り/「夢の通貨」の大きな欠陥とは/「物差し」なのに目盛りが伸縮/「お金」の役割を果たせないビットコイン/今のところ「投機性の強い金融資産」/電子化、デジタル化、キャッシュレス化/政府がデジタル通貨を発行すれば/リブラには準備資産の裏付けがある/「国際通貨」にもなりうるが
お金の国家管理に対する挑戦/安全性は確保できるか
中條誠一
1949年新潟県生まれ。中央大学名誉教授。中央大学大学院経済学研究科修士課程修了。約十一年間の商社(日商岩井)勤務を経て、大阪市立大学助教授・教授。96年から2019年まで中央大学教授。商学博士(大阪市立大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)