富士通、ブロックチェーンの応用によるデータ流通ネットワークを実現するソフトウェア開発
富士通は、様々な組織や企業に蓄積されているデータの相互利活用の促進に向け、独自に開発したデータアクセス制御技術によって安心・安全なデータ流通ネットワークを実現するソフトウェアを開発。
本ソフトウェアは、株式会社富士通研究所が開発した、ブロックチェーンの応用による分散データアクセス制御技術「富士通VPX(Virtual Private digital eXchange)テクノロジー」をベースとし、ブロックチェーンの機能を拡張し、データ提供者が保有するデータの属性情報と、データの保管場所に紐づいたID情報をブロックチェーンの分散台帳に登録し、登録されたデータを取得できるデータ利用者を限定するアクセス権限の設定などを可能にしたもの。さらに、独自のスマートコントラクトを搭載することで、データの提供者と利用者のデータのやり取りを、予め設定されたアクセス権限に基づいて自動的に実行することも可能に。
▼富士通:ブロックチェーンの応用による安心・安全なデータ流通ネットワークを実現するソフトウェアを開発
■背景
近年、IoTの普及などによって人やモノに関連した様々な情報がデータ化、蓄積され、ビッグデータ解析やAI(人工知能)の活用によって新たな価値創出を目指す取り組みが世界的に加速しています。その実現には、多様なデータが大量に必要となるため、様々な組織や個人が保有するデータを相互利活用していくことが重要です。しかし、一般的なデータ相互利活用の仕組みでは、データ提供者は保有するデータを外部環境に預けなければならないため、セキュリティやプライバシーなどの懸念から、企業や組織の枠を超えた相互利活用があまり進展していません。このような状況に対応して、当社はデータを外部環境へ預けることなく、自身の持つ環境に置いたまま相互利活用できる、分散環境を前提としたデータ流通ネットワークを実現するためのソフトウェアを開発しました。
■開発したソフトウェアの特長
ブロックチェーンは、ネットワークに接続された複数のコンピュータが取引記録などを分散台帳として共有し、相互に認証する技術で、仮想通貨の流通などに活用されてきましたが、近年ではそれ以外の様々な分野で活用が進んでいます。
当社はこのたび、安心・安全なデータ流通ネットワークの実現に向け、ブロックチェーンの応用による分散データアクセス制御技術「富士通VPXテクノロジー」を活用したソフトウェアを開発しました。本ソフトウェアの特長は、以下の通りです。
1.提供データの属性情報とデータの保管場所に紐づいたID情報を分散台帳に登録
データ提供者は、データの保管場所はそのままに、提供するデータの属性情報(データの種類や、そのデータに含まれる情報要素など)と、データの保管場所と紐づけたID情報をブロックチェーンの分散台帳に登録することができます。そのため、データ利用者は分散台帳に登録された属性情報から必要なデータを容易に検索するとともに、データのID情報を入手することが可能となります。データ提供者は、利用者に保管場所から直接データをダウンロードさせるのではなく、ID情報でデータの申請を受け、それに対応したデータを利用者に対して暗号化して送付します。そのため、データ提供者はデータの安全性を維持したまま、データのやり取りを行うことが可能です。
2.提供データごとにアクセス権限を設定可能
データ提供者がブロックチェーンの分散台帳に提供データの情報を登録する際、データごとにアクセス権限を自由に設定することが可能です。これにより、データ提供者は分散台帳を閲覧できる全参加者の中から、アクセス権限を付与した参加者にのみデータの情報を開示することができます。
3.データの申請から送信までのプロセスを自動化
データ利用者がID情報でデータの申請を行ってから、アクセス権限を認証し、データが送信されるまでの一連のプロセスを自動的に実行するスマートコントラクトを搭載しています。そのため、効率的なデータのやり取りを行うことが可能です。
なお、今回開発したソフトウェアは、コンソーシアム型ブロックチェーン「Hyperledger Fabric」をベースに、ブロックチェーン上で実行される独自のスマートコントラクトを開発することにより実現。
※記載されている製品名などの固有名詞は、各社の商標または登録商標です。