【日本仮想通貨事業者協会(JCBA)】自主規制への取り組みについて・要旨
一般社団法人日本仮想通貨事業者協会(略称:JCBA)は、2017年9月22日に「自主規制への取り組み状況に関する報告」を発表。10月2日に開催された「登録仮想通貨交換業者 合同記者会見」の場でも同内容について少し触れられましたが、その要旨についてこちらでもまとめておきます。
1.自主規制について
JCBAでは正会員である仮想通貨交換業者を対象とした自主規制の整備を推進。平成29年度下期においては自主規制のうち基本的な事項の規則又はガイドライン(規則等)を策定し、協会監査に着手。
以下の2点については喫緊の課題として認識し、重点的に対処します。
- 新規に取扱う仮想通貨(ICO:Initial Coin Offering を含む)に関する業務フロー
- 利用者からの苦情等への対応
2.アライアンスの強化
JCBAは、仮想通貨を支える様々なビジネス要素について、固有の立場を有することなく、あらゆる可能性を排除せず、公平に接することを旨としています。この姿勢を明らかとするため、仮想通貨およびブロックチェーンの技術に関する主要な団体である
と相互協力に関して協議中。また他の関係主要団体である
についても同様の相互協力関係の構築を目指し、意見交換のレベルから交流を実施。
3.統計情報発信
現在、国内の仮想通貨取引については正規の統計が見当たらないことから、JCBAでは、会員業者の取引状況を取りまとめ統計データとして公表することの早期実現に向け検討。統計データの公表は当年内に試行を開始する計画。
■新規に取扱う仮想通貨(ICOを含む)に関する業務フロー
JCBA正会員間で合意された仮想通貨の取扱い開始までの業務フローは次の通り。
- 会員による新規取扱い仮想通貨に関する情報収集、当該仮想通貨の概要説明書の作成
- 会員による当該仮想通貨に対する社内審査の実施
- 会員による協会への審査結果報告および仮想通貨概要説明書の提出
- 協会による仮想通貨概要説明書記載内容および会員による社内審査結果の確認
- 会員による規制当局への取扱い仮想通貨変更届の提出
- 会員による新規取扱い仮想通貨の利用者(投資者)への提供開始
JCBAの会員がICOを取り扱うときには、当該コインの発行後に不特定の者による交換(売買)が行われる計画(または仕様)となっている場合、資金決済法上の仮想通貨に該当するものとみなし、ICO取扱い時点で、上記のフローに従って業務を取扱うことを検討。
このフローでは、「仮想通貨の取扱いを決定する主体は各会員となり、取扱う仮想通貨の選択は各会員の社内審査に依拠する」こととなりますので、今後は実際に社内審査を行うに際しての着眼点や判断基準などの在り方および標準モデルなどについても検討。
とくにICOについては対象となる仮想通貨の商品設計や調達資金の使用目的など発行当初時点で留意すべき事項のほか、発行後における調達資金の使用状況やプロジェクトの進行状況などの利用者(投資者/保有者)への継続的な情報提供が必要となる事項などの対処方法についても検討。
これらの検討着手に先立ち、JCBAでは、資金決済法における仮想通貨交換業の登録業者(みなし登録業者を含む)が平成29年9月30日時点で取り扱っている仮想通貨の一覧表と当該一覧表に掲載された各仮想通貨の概要説明書を JCBA ホームページ上に公表する予
定。
今回掲載する概要説明書は JCBA 全正会員が協力して作成したものとなります。今後JCBAでは、この公表する一覧表を「ホワイトリスト(※)」と称することとし、会員が新たな仮想通貨を取り扱うときには随時更新し、利用者に情報を提供。
※ホワイトリストに掲載する仮想通貨の安全性等についてJCBAが保証するものではありません。また、掲載されている情報の使用に起因して生じる結果に対して、JCBAが責任を負うものではありません。
■利用者からの苦情等への対応
現時点では、JCBAは資金決済法上の認定資金決済業協会ではないため、会員が利用することができる法定の苦情処理措置(機関)にはなることができないが、その重要性を鑑みて年内を目途に利用者からの苦情受付業務を開始。
ただし、JCBAによる苦情受付業務開始後においても正会員は引き続き自社内に苦情受付窓口を設け、苦情に対処する社内の仕組みを整備することとし、苦情の発生状況やその対処状況について、JCBAと会員との間で情報を共有する環境を構築。
併せて仮想通貨を利用した犯罪に関する警察による捜査等への協力を円滑に行うための仕組みも検討開始。
▼日本仮想通貨事業者協会:自主規制への取り組み状況に関する報告(PDF)
▼日本仮想通貨事業者協会(JCBA)公式WEBサイト