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ビットコイナーと税理士の狭間で

第1回「嫁GOX~終活のすすめ~」

嫁GOX、それは、嫁バレからのビットコイン(仮想通貨)没収若しくは禁止になる恐ろしいGOX事件です。

嫁GOX怯えるビットコイナーも多く、巧みに自身がビットコイナーであることを隠しているようです。

そして、一部では、ビットコイナーはモテないのが、Twitter界では常識?らしい。=独身ビットコイナーも多く存在します。

Twitter眺めてて思ったんですけど、失礼な話、自分が死んだらビットコイン、どうなるのって事です。いつ、ぽっくり逝くかは、誰にもわかりません。自分が死んだらそれまで、だから別に良いと言うのもわからなくはないのですが、相続が発生してから、被相続人(亡くなった人)の相続財産を把握するのは、結構、大変なんです。家族は、わかっているようで、わからなかったりします。特に現物は。

実際の相続業務で、相続財産について、生前に「ビットコイン」所有していましたか?と言う質問を相続人に投げ掛けたことはありませんが、果たして、自分が死んだときに「ビットコイン」を無事、家族に届けることが出来るのでしょうか。

私自身、TREZORに入ってるビットコイン、おそらく死んだら・・・という懸念はあります。

ウォレットのパスフレーズや秘密鍵を発見し、理解して、残された子供、家族の手元に届くのでしょうか。すごく重要なことです。なので、嫁GOXを回避することも含め打ち明けるか、パスフレーズや秘密鍵だけではなく、ビットコインを救出できるような準備をしておかなくてはならないのでは、と思うのです。
どうするか?打ち明けるのは困難を極めるようなので、圧倒的に後者を選択するということになりそうです。

税金の話をすれば、ビットコインの相続税評価額の取扱いは、現状、決まっていません。
もし、今、亡くなった場合の相続税評価額は、原則である相続税法第22条(評価の原則)により、亡くなった時における時価になります。

上場株式の相続税評価を例に挙げると。

相続税の計算における上場株式の評価額は、亡くなった日の終値です(原則)
上場株式は、ボラティリティが大きいので、亡くなった日だけではなく、一定の期間内で低い価格を選択することができます(例外)。(参考:国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/4632.htm

No.4632 上場株式の評価
[平成28年4月1日現在法令等]

上場株式とは、金融商品取引所に上場されている株式をいいます。
上場株式は、その株式が上場されている金融商品取引所が公表する課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)の最終価格によって評価します。
ただし、課税時期の最終価格が、次の三つの価額のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額により評価します。

1 課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
2 課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
3 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額
 
なお、課税時期に最終価格がない場合やその株式に権利落などがある場合には、一定の修正をすることになっています。
 以上が原則ですが、負担付贈与や個人間の対価を伴う取引で取得した上場株式の価額は、その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価します。

そのほかの相続財産と合算して相続税が計算され、課税されます。

ビットコインは、株式よりも更にボラティリティが大きいので、亡くなった日によって大きな差がでます。
更に言えば、ビットコインの残高を確認することはできるが、パスワード等がなくて救出できない場合、税務署は、取り出せないから相続財産に含めなくて良いよって言ってくれるのだろうか・・・。想像するだけで恐ろしい話です。

そもそも、「所有者」をどうやって紐付けるかも気になりますが…。


問題は、相続したあとにもあります。

相続税で課税されても、その後、売却して儲けが出れば、所得税も課税されることになります。そして、その計算において、「取得費」は、相続の時に評価した金額ではなく、被相続人(亡くなった人)が購入した金額です。
えぇ~って感じなんですが、それが現実です。

所得税は、売却金額-取得費(譲渡費用を含む)で儲け(所得)を計算します。


「取得費」がわからないとどうなるのか。

上場株式だと売却金額の95%が儲け(所得)になります。「取得費」は、5%相当額です。
(参考:国税庁 https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1464.htm

5 取得費が分からない場合などの取扱い

譲渡した株式等が相続したものであるとか、購入した時期が古いなどのため取得費が分からない場合には、同一銘柄の株式等ごとに、取得費の額を売却代金の5%相当額とすることも認められます。実際の取得費が売却代金の5%相当額を下回る場合にも、同様に認められます。
例えば、ある銘柄の株式等を300万円で譲渡した場合に取得費が不明なときは、売却代金の5%相当額である15万円を取得費とすることができます。

税率が20%と仮定すると、
売却金額2,500万円-取得費2,000万円=500万円×20%=100万円
売却金額2,500万円-取得費(2,500×5%)=2,375万円×20%=475万円

取得費がわからなかっただけで、475万円-100万円=375万円の納税に差がでます。

上場株式については、証券会社の方で取得費がわかっている事が多いので、実際には、「土地」や「金」などの現物の取得費がわからないということの方が非常に多いです。買う時には、そこまで考えてないので。


ビットコイン(仮想通貨)の所得税の計算の取扱いは、まだ、決まっていませんが、ビットコインであったとしても「取得費」がわからないと所得計算に与える影響が非常に大きいのは間違いないです。家族が知らない、どうすれば良いかわからないという問題があります。更に、ビットコインを売却すれば、所得税が課税されるという事も問題になってきます。

実際にビットコインを売買していた人ではない、本人ではない家族が計算しなければいけない時の方が「取得費」を把握できない事案として出てくる可能性が高いだけであって、生きているうち(なんか変だなw)の所得税の計算でも、「取得費」の問題は、同じです。

「取得費」わかりませんは、大変危険です。購入(取得)した金額を把握しておかなければ、売却した金額、ほぼすべてが所得になってしまいます。杜撰なことをしていると、本来、支払うべき税金よりも過大に支払うことになります。

内緒でビットコインを売買しているとこんなリスクもあるので、自分がビットコイナーであることを周知させておくことは重要なのかもしれません。

嫁GOX回避してもセルフGOX?にならない様に気を付けましょう。

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丸山正行税理士事務所

プロフィール

丸山正行

丸山 正行

Masayuki Maruyama

丸山正行税理士事務所 代表(ビットコイナー税理士)

2012年08月 税理士試験合格(簿記論、財務諸表論、法人税、所得税、消費税)
2014年01月 税理士登録
2015年05月 ビットコイナー
2016年08月 TAKARAで初トークンをゲット
2016年11月 ペペコイナー
2017年02月 税理士報酬をビットコインで初決済
2017年04月 メモリーチェイナー
2017年04月 エコビットコイナー

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