第14回「贈与税の確定申告」
仮想通貨界隈が、Xemが無くなった、補償金が・・・と、騒がれている中、贈与税のお話。
平成29年分の贈与税の確定申告が平成30年2月1日からスタートします。
申告期限は平成30年3月15日です。
所得税の確定申告は、平成30年2月16日からなので、一足早く贈与税の確定申告がスタートします。所得税の確定申告よりも更に縁遠いのが贈与税の確定申告です。おカネ持ちが相続税対策でやるみたいなイメージがあるかも知れませんが、日常生活では結構な確率で「贈与」は行われています。
お年玉。これも「贈与」です。お中元、お歳暮、誕生日プレゼントなどなど、人にモノを無償で与えることは、多々あります。
仮想通貨界隈では、仮想通貨の投げ銭(チップ)等があります。これも「贈与」です。
贈与税の確定申告対象者は、平成29年1月1日から12月31日までの1年間に財産の贈与を受けた人は、その贈与を受けた財産が「110万円」を超える場合には、贈与税の申告をしなければなりません。
「贈与をした人」ではなく「贈与を受けた人」が贈与税の確定申告をします。
そして、贈与税の課税対象は、「個人間」であり、「法人」からの贈与は、贈与税の課税対象にはなりません。
法人からの贈与は、「所得税」が課税されます。
Twitterなどで仮想通貨のチップなどを贈り合っていますが、相手が「個人」なのか「法人」なのか・・・。
個人のアカウントに見えて、実は、法人が運営しています・・・、と言うのはよくある話?
また、エアドロップは、通常、「法人」から無償でもらうので、所得税の課税対象になります。
法人からの贈与に関しては、所得税法において、通常、「一時所得」という所得区分になり、仮想通貨の売買による損益は「雑所得」になります。
一時所得は、「50万円」を超えると課税対象になります。「個人」からの贈与は、110万円、「法人」からの贈与は、50万円あるので、普通に考えたら、気にしなくても良いということになります。
また、贈与を受けた財産がすべて贈与税の課税対象になるかというと非課税になる贈与もあります。
お年玉、お中元、お歳暮、誕生日プレゼントなどは、そもそも非課税で贈与税の対象になりません。
(国税庁HP:贈与税がかからない場合 https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4405.htm)
贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産に対してかかりますが、その財産の性質や贈与の目的などからみて、次に掲げる財産については贈与税がかからないことになっています。
8. 個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの
ちなみに受け取ったチップを売却する時、売却した金額は、雑所得の収入金額になります。売却した金額すべてに所得税がかかることに納得できない人は、その売却金額からマイナスすることができる経費が存在します。それは、「贈与時の時価」ではなく(贈与税の計算は、贈与時の時価)、そのチップを送った人の「購入金額」です。
普通に考えて、チップを送ってくれた人に、その仮想通貨いくらで購入したの?とは、聞けないので、経費には計上出来ないですよね・・・。
一方、チップを送る側の人は、基本的に贈与税も所得税も課税対象になりません。二重で課税されない様になっています。つまり、贈与した時点において含み益があっても、所得税が課税されることはありません。代わりに受け取った側が売却する時に、その含み益も含めて所得税を負担することになります。贈与した相手が法人であれば、売却したものとみなして贈与した側で所得税が課税されます。
チップを送る側も受取る側も、あなた法人ですか?って確認する?(笑)
ある程度、大きな金額を近しい人に贈与する場合には覚えておいた方が良いでしょう。所得税の累進税率、贈与税の累進税率、非課税、家族・・・、贈与も含めて考えると、また違った視点もあるかもしれませんね。
所得税法60条
居住者が次に掲げる事由により取得した前条第一項に規定する資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。
一 贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)
二 前条第二項の規定に該当する譲渡
2 居住者が前条第一項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が当該資産をその取得の時における価額に相当する金額により取得したものとみなす。
所得税法59条
次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)
2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
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