仮想通貨に関する総合ニュースサイト「ビットプレス」

  1. トップページ
  2. >コラム・レポート
  3. >仮想通貨な空想哲学
  4. >【フィンサム2017】「INSTANT MILLIONAIRES? THE RISE IN INITIAL COIN OFFERINGS」講演レポ

コラム & レポート

バックナンバー

仮想通貨な空想哲学

【フィンサム2017】「INSTANT MILLIONAIRES? THE RISE IN INITIAL COIN OFFERINGS」講演レポ

キーワード
フィンサム2017

日本経済新聞社、金融庁、Fintech協会共催のフィンテックサミット「FIN/SUM WEEK2017」が2017年9月19日~9月22日の期間、東京・丸の内&大手町にて開催。最終日のセッション「INSTANT MILLIONAIRES? THE RISE IN INITIAL COIN OFFERINGS」を拝聴してまいりましたので、要旨をここでお届けしたいと思います。



【パネルディスカッション登壇者】
宮口礼子氏/Kraken マネージング・ディレクター・ジャパン
朝山貴生氏/テックビューロ代表取締役社長
小川晃平氏/VALU代表取締役
[モデレータ]岩下直行氏/京都大学教授 
(文中では敬称略)

■はじめに

岩下: ICO、昨年1年間で日本円にして100億円程度、ところが今年の5月から急速に伸びてわずか3ヶ月位であっというまに2000億円位資金調達がなされているという現状です。

最近よく言われていますが、ICO ホワイトペーパーを書いたのだけれど、実際に書いたモノが作られているかというと、実際にプロダクトを出しました、造られているかというとベータ版まで出しました、ローンチしましたというところが極めて少ない。ICOというのはIPOと違って、トークンを作って商品として売りますので、そのトークン自体に何らかの参加権みたいなものをつけますけれど、基本的には株とか社債みたいにあとで返さなくてもよいものなので、正に今日のサブタイトルにもついている「INSTANT MILLIONAIRES」が出来てしまうということで、これはシード期の資金調達として一方では考えられていますが、ミリオネアになってそれで満足し、そこからイノベーションをしてもらわなければ困るわけで、そういう意味ではちゃんとしたメカニズムがないじゃないかということで、これまで起こっている幾つかのICOについては詐欺的なものもあります。そして中国ではICOの全面的な禁止ということになってきています。

日本ではこれからどんなICOにしていけば、人々に受け入れられていくのか、かつイノベーションに貢献できるというものかについて聞いていきたいと思います。

■日本でのICOについて


朝山: サブタイトルにある「INSTANT MILLIONAIRES」というのは実は幻想で、簡単にミリオネアにはなれません。というのは、ICOしてミリオンというのは目にはつきますが、実質ミリオンに行くのは半分もなくて、先月(ICOが)100以上ある内リストを見て消えていないのが50、その内ミリオン行っているのが半分、15%位が10ミリオンですね。本当位ミリオンを取ろうとしたら余程ちゃんとしたものか、嘘が上手かという二通りしかないと。いずれにせよ簡単ではありません。

もう一つ、正当なICO、我々がいま推し進めているのは有価証券ではない形のICO、株などと違うのはまず発行した時は電子トレーディングカードと同じトークンという電子商品で、それを今後市場で流通されるといわゆる仮想通貨の性質を持つと。それが流通するときに価格上昇するのでキャピタルゲインが得られるということで、仮想通貨のブームに乗ってどんどん膨らんでいっているという状況ですね。

問合せの99%は「お金が欲しい、ただ何もしたくない」というICOゴールなものでして、弊社ではそういうものは全部お断りしています。

ICOをみなさん期待されて見られているところがありますが、だんだん淘汰され、今年中にはちゃんとしたビジネスのみが採用されるといった1つの手法になっていくと思っています。

■取引所におけるICOへの対応


宮口: 最近一番多く受ける問合せは「どうやったらKrakenにリストしてもらえるのか基準を教えてください」というものです。取引所側の責任というのはすごく感じていますので、もともとイーサリアムの時などは、プリセールの時から素晴らしいだろうという将来性を感じてリストしたのですけれど、最近では仮想通貨・カレンシーとしてではなく、プロダクトをサポートするトークンなどしかない状況です。選定の段階で、そのプロダクトがどういうもので、ちゃんと造られているか、これから造られるのか、ホワイトペーパーを読んだ上で、エンジニアなどと検討しています。

ただ個人的にはICOというものができた一番のバリューは、いままで本来すごくイノベーティブな、社会に貢献するであろう小さなスタートアップが作ったプロダクトが、一般のVCマネーにはたどり着かなかったものにチャンスを与えるシステムが出来た。それをいま悪いものなどが淘汰されて、いいものが生き残れるようにしていくため今はその過渡期なのかなと。

朝山: 弊社はそもそもトークンのバリューの最大化を前提でやろうと、請け負う案件というのはこの先潰れるであろうというビジネスだとICOをする意味、先に価値が上昇していくことが見えている上で、そこにあえて新しい経済圏を組み込むと、その速度が上がって、双方にとってプラスになると。そういうビジネスのみを請け負おうと。既存のVC同様、目利きというものが重要。

昨年までのICOの傾向は、出来るか出来ないかわからない、非中央集権化したアプリケーションが99%だったのですけれど、それがどんどん実業とミックスしたものが主な案件になりつつある。結局既存の経済で、目利きが出来る人間がICOにも必要になってきています。取引所も2つに分かれていて、海外の幾つかのところではひたすら数を出してリストするところこと、本当に厳選してするところなんですが、傾向として投資する側が投資するリスクをわかっているので、数が多い方に行く感じとなっています。

■既存の金融との競合について

朝山: 恐らくこの中で3つの向かい風(ビットコイン、ブロックチェーン、ICO)を受けてきたのは私だけだと思うのですけれど。20年もすれば、いつかわかりませんが、お金を滑らかにするために仲介ビジネスというのがどんどんなくなっていくのだと思います。現実的に考えると、暗号通貨、ブロックチェーン、ICOというものは喧嘩するものではなくて、既存の企業・ビジネスが活用することによって、経済をディスラプトするのではなくて、それに手を付けていない同業他社をディスラプトするための武器であるというふうに私はいつも言っています。

その証拠、いい例として私どもではVC投資も受けて、しかもICO発表しています。いい生きた証拠になっているかと。

岩下: あえて伝統的な金融機関側の立場を代弁して言うと、現在の金融商品取引法に載っているプロダクトについては、タイムリーディスクロージャー、インサイダー規制、相場操縦であるとか、ある意味で肯定されているわけです。そういうものが、取引所の開設についても様々な要件があるわけです。現在の資金決済法という法律には、それに類した情報はないわけで、仮想通貨を使って行く限りについて、資金決済法の範疇でコントロールされるとすると、それはレベルプレイングフィールドではないのではないかという議論がよく既存の業界からでてくるんだと思います。こういうことについてはどうでしょうか。

■規制について

宮口: いま正に金融庁の登録で頑張っているところなのですけれど、リスクをまず基準に考えるともっともなことで、コンシューマープロテクションを第一に、とにかく問題が起きないようにしようと、日本はそういう文化ですよね。ただ全く違う文化も経験した上でいうと、どうやってイノベーションを壊さずに育てていくかという動きととのバランスを取っていくのは本当に難しいのですが、リスクをこれまで取ってきた人がこの分野を育ててきたわけで。まだICOについてもその期間ではないかと。

勿論、存在するリスクを理解した上で、個人的にはやはり技術と可能性を潰さないようにというものの方に声を大きくしていきたいと。

朝山: 規制はあって然るべきだと思いますが、テクノロジーから来ている面もありまして、かつもともとの技術、ボーダレスで動いているもので、いままでの枠組みで培われてきた知識とか技術とかルールをそのまま当てはめても全く役に立たないということもありますし、無駄に押さえつけすぎて、もともとの優位点をなくしてしまう可能性もあるので、するにしてもちゃんと理解をした上で、別な形に変えて、適応していただきたいというのはあります。

交換所の登録のルールというのは我々の方でもかなり声をあげて金融庁にはポジティブに取り入れていただいたことにはとても感謝しています。その証拠にこの技術を真っ先に活用するいわゆる悪徳のコイン業者・ビジネスが台頭しにくい新しいルールになって、非常に市場は伸びながらもそういったネガティブな面が押さえられているという素晴らしい結果がでています。この先ICOといった分野においても同様の適切な規制は作っていくべきかと思っています。

■ICOをめぐる議論、それぞれのビジネスについて

朝山: 非常にアグレッシブで先進的なテーマに見られがちなのですが、ちょうど今ICOを自社でも実施しておりまして、血の滲むような作業を実は繰り返しています。そういうことを共有する場がほしいと思いますし、ぜひ弊社の結果を見てください。できるだけリスクを抑えて、最大の結果を出して、日本風のやり方をやって、これからのICOというものを指し示して、みなさんに是非活用していただきたいと思っています。

宮口: エクスチェンジとしてはこれからも真面目に、きちんとしたトークン・プロダクトを支えるものとして選定していくのですが、個人的にはなぜICOをする意味がこのプロダクト・トークンにはあるのかということを、しっかり確認していただけるといいかなと思います。

■最後に

岩下: モデレータとして最後にラップアップさせていただきたいと思います。



今日のタイトル「INSTANT MILLIONAIRES」、この言葉についてはみなさん「そうじゃないよ」とおっしゃって頂いたことは大変意味があることと思います。やはりICOというと、一気に何十億円も資金が集まってラッキーというそういう感じをすごくみんな思っていて、実際、倫理的になにか許せないという感覚をもっている方が非常に多いと思います。しかしそれは今そういうものを見ているからであって、これからICOをやりましょうという方たちが来たとき、ちゃんとした仕組みでやっていこうとされているということが、このパネルを通じておわかり頂けたら大変意義があったのではと思います。

どうもありがとうございました。